改訂新版 世界大百科事典 「イグナティオス」の意味・わかりやすい解説
イグナティオス(アンティオキアの)
Ignatios
生没年:35-110ころ
エウオディオスの後を継ぐ第2代のアンティオキアの監督。みずからをテオフォロスTheophoros(〈神を運ぶ者〉の意)と呼んだイグナティオスは,異邦人キリスト者であった。使徒たちとの直接の関係はないが,彼はパウロやヨハネを高く評価し,彼らの信仰の立場を継承した。トラヤヌス帝の時代,おそらく110年ころアンティオキア教会の責任者として逮捕され,10人の兵士によってローマに護送され,野獣の餌食として殺された。彼によれば,監督は神とキリストの代表者として教会の頭であり,監督と一致するときにのみ教会の教えは正しい。また聖餐はイエス・キリストの肉であり,不死の薬としてわれらに永遠の命を与える,という。
執筆者:川村 輝典
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