日本大百科全書(ニッポニカ) 「イスラエル破壊条項」の意味・わかりやすい解説
イスラエル破壊条項
いすらえるはかいじょうこう
Clauses on Israel's destruction
パレスチナ人(国家)の憲法にあたるパレスチナ民族憲章のなかの「武装闘争はパレスチナ解放の唯一の道」(第9条)、「パレスチナ解放はシオニズムの根絶を目的とする」(第15条)、「イスラエル国家の樹立は不法」(第19条)、「ユダヤ人はアイデンティティをもつ単一の民族ではない」(第20条)、「イスラエルは世界帝国主義の基地」(第22条)などの条項。イスラエル敵視条項ともいわれる。憲章は、1964年のパレスチナ解放機構(PLO)創設時に採択されたが、96年4月、ガザで開催されたパレスチナ民族評議会(PNC)で、93年のイスラエルとの相互承認をはじめとする和平路線に矛盾するとして廃棄の方針が決定、97年3月アラファトPLO議長が全面削除を確認した。イスラエルは最高議決機関PNCでの廃棄決定を求め、98年10月のワシントンにおける中東和平首脳会談での合意にもとづき、同年12月、クリントン米大統領の立ち会いのもと、パレスチナのガザ地区で開かれたPNCで、イスラエル破壊条項の廃棄が挙手により圧倒的多数で承認された。
[奥野保男]