日本大百科全書(ニッポニカ) 「イトアメンボ」の意味・わかりやすい解説
イトアメンボ
いとあめんぼ / 糸水黽
water measure
昆虫綱半翅(はんし)目イトアメンボ科の総称、またはそのなかの1種名。イトアメンボ科Hydrometridaeは半水生のカメムシ類で、池沼や水田など、静水の岸辺近くに多い。日本には4種が知られている。体も脚(あし)も細長いが、とくに頭部が長く、胸部とほぼ等長である。はねに長翅型と微翅型が現れる。アメンボ類の滑走とは異なり、水生植物の間の水面をゆっくり歩行する。口針を伸ばして水面下のミジンコなどを捕食する。和名イトアメンボHydrometra albolineataは本州、四国、九州および朝鮮半島、中国、台湾に分布する普通種で、体長12~14ミリメートル。体はきわめて細く、体色は暗褐色、ときに黒色または淡色を帯びる。生態はほかのアメンボ類とほぼ同じである。
[立川周二]