イラリオン(読み)いらりおん(その他表記)Иларион/Ilarion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イラリオン」の意味・わかりやすい解説

イラリオン
いらりおん
Иларион/Ilarion

生没年不詳。ロシア正教会のキエフ府主教。11世紀中ごろの人。キエフ大公ヤロスラフ賢公のとき、ベレストーボの聖使徒教会の司祭であったが、1051年キエフ(現、キーウ)の聖ソフィア教会でロシア人として初めての府主教となった。賢公の死の翌年(1055)には府主教座を追われ、ギリシア人がふたたび府主教となった。『律法と恩寵(おんちょう)に関する言葉およびウラジーミル公への讚辞(さんじ)』『全ロシアの地についての祈り』『信仰告白』は彼の書といわれるが、コンスタンティノープルに対するロシア正教の独立を暗に説き、とくに『讚辞』と『祈り』は中世のロシアで広く愛読された。

[山川令子 2018年2月16日]

『除村吉太郎訳『ロシヤ年代記』(1943・弘文堂/複製・1979・原書房)』『Ludolf MüllerDie Werke des Metropoliten Ilarion;Forum Slavicum 37(1971,Fink Verlag, München)』

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