改訂新版 世界大百科事典 「イワヒトデ」の意味・わかりやすい解説
イワヒトデ
Colysis elliptica(Thunb.)Ching
暖地の岩上に見られるウラボシ科の常緑多年生シダ植物。葉の形の印象がヒトデを思わせ,この名がある。根茎は径3mmほどで,長くはい,まばらに葉を出して群落をつくる。葉はやや2形になり,胞子をつける葉は高く伸びて,葉柄とともに長さ50cmに達する。葉面は黄緑色,単羽状複生,3~5対の側羽片と,ほぼ同形の頂羽片がある。葉脈は表面からはよく見えないが,網状に結合し,網目内には不規則な遊離脈がある。胞子囊群は線形で,羽片の中肋(ちゆうろく)と約30度の角度でつく。伊豆半島以西の暖地の林下に生じ,中国から東南アジアの一部に分布している。近縁種にオオイワヒトデC.pothifolia(Don)Preslがあり,小さいものは一見よく似ているが,後者は根茎が太く径1cmに達し,葉質がやや薄く,葉脈は表面からはっきり見え,よく発育した葉では,側羽片は15対に達する。また亜熱帯性で,日本では四国の南端と九州南部以南に限られる。ともに観賞用に栽培される。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報