改訂新版 世界大百科事典 の解説
イングリッシュ・ステージ・カンパニー
English Stage Company
イギリスの演劇団体。1955年,演出家ジョージ・ディバインが中心となって,内外の新しい劇,とりわけ商業劇場で上演されにくい作品を紹介することをおもな目的として結成され,ロンドンのチェルシー地区にあるローヤル・コート劇場を本拠として翌年公演活動を始めた。この年の演目の一つであった無名の新人ジョン・オズボーンの《怒りをこめてふり返れ》は,イギリス演劇革新運動のきっかけとなった。続いてA.ウェスカー,J.アーデン,N.F.シンプソン,E.ボンドなどの新作もここからロンドンの劇壇に紹介された。65年にディバインの後を継いだ演出家ウィリアム・ギャスキルをはじめとする数代の責任者たちは,いずれも発足当時の方針を守り続け,おおむね芸術的にも政治的にも先鋭な劇を上演している。69年以来,階上に設けた小劇場で,とくに前衛的な作品の上演も行っている。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報