イギリスの劇作家。労働者階級の子としてロンドンに生まれ、工場などに勤めながら戯曲を書いた。1962年『法王の結婚式』がロイヤル・コート劇場で上演され、ついで『救われた』(1965初演)で注目されたが、劇中、不良少年たちが乳母(うば)車の赤ん坊に石を投げて殺す場面が物議を醸し、上演禁止処分を受けた。しかし、これが一つの契機となってイギリス劇壇の検閲制度が廃止され、また彼はハロルド・ピンターらと並んで1960年代のイギリス演劇を代表する劇作家の一人となった。以後、ビクトリア女王とその宮廷を風刺した『早朝』(1968)も上演中止となったが、このほか日本人バショー(芭蕉)を主人公とする『奥の細道』(1968)、シェークスピアの『リア王』を暴力的な闘争劇に改作した『リア』(1971)、晩年のシェークスピアを扱った『ビンゴ』(1973)、エウリピデスの『トロイアの女』を下敷きにした『女』(1978)、『いくつもの世界』(1979)、『王政復古』(1981)、『夏と寓話(ぐうわ)』(1982)、『戦争三部作』(1985)、『二編のポスト・モダン劇』(1990)など、力強い実験精神をグロテスクなユーモアで包みながら現代文明のゆがみを衝撃的に描いて精力的な活動を続けた。
[中野里皓史・大場建治]
『『現代演劇・90――特集エドワード・ボンド』(1980・芸術社新社)』
イギリスの劇作家。政治的には社会主義を標榜(ひようぼう)し,演劇的にはブレヒトの影響を受けて古風なリアリズムを否定する。人間の暴力性や社会構造の悪を鋭く摘発し,衝撃的な題材を好んで取り上げるため,商業的には成功しておらず,しばしば保守的な観客に批判される。作品には《救われて》(1965),《奥の細道》(1968),《リア》(1971),《ビンゴ》(1974),《王政復古》(1981)など,いずれも残酷で苦いユーモアをたたえている。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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