日本大百科全書(ニッポニカ) 「インディアン請求委員会」の意味・わかりやすい解説
インディアン請求委員会
いんでぃあんせいきゅういいんかい
1946年のアメリカ合衆国のインディアン請求委員会法Indian Claims Commission Actによって設立された委員会。その任務は、合衆国が過去においてインディアン部族から、詐欺、強迫、不当な価格、双方もしくは一方の誤りを理由に、不当に取得した土地等に対する補償を、今日の段階で行うための裁定作業をすることにあった。1978年にその役割を終え、残された作業は合衆国請求裁判所へ移送された。同委員会には、最終報告書によれば、インディアン部族による617の請求事件が係属し、342件に総額8億1800万ドルを超える裁定額が認められている。その審理過程では、新しいインディアン史や地方史が明らかにされた。かかる裁定額はインディアン部族を復活させたともいえるが、土地は返却されるものではない。
[上田伝明]
『上田伝明著『インディアン請求委員会の研究』(1979・法律文化社)』