ウォルスキ族(読み)ウォルスキぞく(その他表記)Volsci

改訂新版 世界大百科事典 「ウォルスキ族」の意味・わかりやすい解説

ウォルスキ族 (ウォルスキぞく)
Volsci

前500年前後に山を下り,リリ川付近の諸都市に定住したオスク・ウンブリア系の古代イタリア山地民。同系のアエクイ族と結んで先住民諸都市に脅威を与え,ラテン人ローマ市同盟(カッシウス条約)を招いた点で,ローマによるラティウム統合を準備したといえる。アエクイ族の壊滅後は漸次後退を余儀なくされ,ラテン同盟戦争の際にも同盟側に加わって敗北(前338),以後ローマ国家に吸収された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のウォルスキ族の言及

【カミルス】より

…前後6回最高官職につき,5回独裁官に任命され,4回凱旋式を挙げたと伝えられるが,その多くは伝説である。しかし少なくとも前396年ごろエトルリアの都市国家ウェイイを攻略し,前387年ごろウォルスキ族に対する戦争を勝利に導いたことは確実視される。ローマを占領したケルト人を撃退したとも伝えられる。…

【コリオラヌス】より

…生没年不詳。伝承によれば前493年ローマの宿敵ウォルスキ族と戦い,その町コリオリを征服した(コリオラヌスというあだ名はこの町名に由来する)。前491年平民への穀物配給に反対して彼らの追及にあい,ウォルスキ人のもとに亡命した。…

【ローマ】より

… このように身分闘争において貴族が譲歩し続けたのは,この時期の近隣諸種族との戦争のゆえであった。前5世紀には北方のエトルリアの圧迫は続き,ラテン諸都市との戦争もあり,他方サビニ人アエクイ族ウォルスキ族など東方の山地帯に拠る諸種族のラティウム平原地帯への進出と戦わねばならなかった。世紀末にはこれらを押し返し,前396年には最強のエトルリア都市ウェイイを攻略した。…

※「ウォルスキ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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