日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウダーナ」の意味・わかりやすい解説
ウダーナ
うだーな
Udāna
初期仏教経典のうち、パーリ語のみが伝わる小部の計15経の第三。その重要性はきわめて高い。また九分教、十二分教という古い分類にも、その一として名があげられている。優陀那、憂陀那と音写し、また感興偈(げ)、自説経などと訳す。仏陀がその感じたところを自ら発して、詩(偈)の形をとるものが起源となる。現存するのは南方仏教の伝えたパーリ語テキストのみである。それは、最初に散文によって説明したあと、末尾に偈がある。散文が後世の追加であることは確実で、詩のみが古い。計80よりなる。なお、ウダーナを経の一形式とみなして、そのたぐいのものを初期仏教資料であたっていくと、仏陀(ぶっだ)だけでなく、仏弟子、バラモン、国王、天その他のウダーナもある。
[三枝充悳]