改訂新版 世界大百科事典 「ウラン酸塩」の意味・わかりやすい解説
ウラン酸塩 (ウランさんえん)
uranate
一般式MI2UnO3n⁺1(MIは1価金属,n=1~6)で表される化合物の総称。n=1のときのMI2UO4を(一)ウラン酸塩,n=2のMI2U2O7を二ウラン酸塩(俗に重ウラン酸塩ともいう),n=3のMI2U3O10を三ウラン酸塩などという。なお,このほかにMI4UO5,MII3UO6などを含めていうこともある。一般に橙色ないし黄色の結晶である。最も普通に知られているのは二ウラン酸塩で,たとえばウラニル(Ⅵ)塩[UO2]X2(Xは1価の酸基)水溶液に金属水酸化物を加えると沈殿し,アンモニアを加えると二ウラン酸アンモニウム(NH4)2U2O7が得られる。(NH4)2U2O7はウランの分離,重量分析に用いられる。一ウラン酸塩は,多く酸化ウラン(VI)UO3を塩基と加熱融解して得られる。MI2UO4(MI=Li,Na,K,1/2Ca,1/2Srなど)では,CrO42⁻などのような四面体型のUO42⁻を含んではいない。たとえばCaUO4では,O-U-O(U-O距離1.9Å)のような単位に,それと垂直方向にさらに6Oが結合した(U-O距離2.3Å)層の間にCa2⁺が入りこんだ複酸化物である。アルカリ金属塩その他を含めてすべて水に不溶。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報