改訂新版 世界大百科事典 「エジリン」の意味・わかりやすい解説
エジリン
aegirine
アルカリ輝石に属する鉱物で,エジル輝石またはエジリン輝石ともいう。化学組成はNaFe3⁺Si2O6であり,カルシウム輝石Ca(Mg,Fe2⁺)Si2O6のCaをNa,(Mg,Fe2⁺)をFe3⁺が置換したもの。同一組成,同一結晶構造で晶癖が異なるものをアクマイトacmite(錐輝石)という。暗緑色~黒色の柱状または粒状の結晶で,先端はピラミッド状を呈することがある。単斜晶糸。モース硬度6,比重3.5~3.6。へき開がよく発達する。アルカリ深成岩に特徴的に産し,アルカリ花コウ岩,セン長岩,それらに伴うペグマタイトなどにしばしばアルベゾンセン石とともに産する。チャート起源の結晶片岩中に含まれることもある。最初に記載されたのがノルウェーであったため,北欧神話の海神エーギルÆgirにちなんでエジリンと命名された。エジリンオージャイトはエジリンとオージャイトの連続固溶体の中間組成のものをさす。
執筆者:永原 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報