コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

鉱物 こうぶつ mineral

翻訳|mineral

6件 の用語解説(鉱物の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鉱物
こうぶつ
mineral

天然に産する結晶質の物質。現在 2000種以上の鉱物が知られているが,地殻をつくる大部分の造岩鉱物は 300種程度,火成岩をつくる主要造岩鉱物は 10種以内で,残りは特殊な条件下でまれにみられる程度。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

こう‐ぶつ〔クワウ‐〕【鉱物】

地殻中に存在する無生物で、均質な固体物質。一定の物理的・化学的性質をもち、大部分は結晶質無機物

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

鉱物【こうぶつ】

一般には地殻中に存在し,物理・化学的にほぼ均一かつ一定の性質を有する固体物質。生物によってつくられた鉱物(生体鉱物)などもある。大部分は無機物であるが,コハクなど有機物もある。
→関連項目鉱業

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

こうぶつ【鉱物 mineral】

自然界に産出する均一な物質(多くは無機質)でほぼ一定の化学組成をもつもの。多くは結晶状態であり,原子は独自の規則正しい配列の原子構造を保つ。原子配列が外形に現れ,結晶面と呼ばれる平面でかこまれた規則正しい凸多面体を示すことも多い。自然界に産出するという面からいえば,鉱物はそれ以上小さい単位に分解することのできない単一の相を形成するものである。岩石は1種類または2種類以上の鉱物が集合し形づくる多相系の集合体をなすものである。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

こうぶつ【鉱物】

天然に産する無機物。ほぼ一定の化学組成と通常ほぼ一定の結晶構造を持つ固体。まれに非晶質のものや液体(水銀)もある。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鉱物
こうぶつ
mineral

天然に産する物質で、ほぼ一定の化学組成と原子配列をもつ、現在生命力をもたない均質物質をさす。少数の例外(自然水銀および水)を除いて常温で固体である。[加藤 昭]

種類の数

2013年(平成25)12月時点で、世界全体で約5000種、うち日本国内で約1300種知られており、年平均60~80種増加している。[加藤 昭]

分類法

類別した各類に重複配置を許す非系統分類と、重複配置を許さない系統分類とが可能である。前者には、たとえば成因的分類、応用的分類などがあり、後者には結晶学的分類、化学的分類などがある。[加藤 昭]

現行の分類

現在広く用いられているものは、化学的分類と結晶学的分類の組合せであって、鉱物種の定義において化学組成と原子配列とが重視されていることに対応している。最初の提唱者はスウェーデンのベルツェリウスで、その後幾多の改良を経て、現在はドイツのシュツルンツHugo Strunz(1910―2006)およびオーストラリアのニッケルErnest Henry Nickel(1925―2009)によるものがもっとも広く用いられている。ここではこれをさらに改良した筆者の分類を紹介する。
 鉱物はまず無機鉱物と有機鉱物に分類される。
〔1〕無機鉱物
 無機鉱物は次の3種類に大区分される。
(1)基本的に単一種の元素からなる鉱物
(2)基本的に2種の、性質の異なる元素からなる化合物の鉱物
(3)基本的に3種の元素からなり、その1種は酸素であるような化合物の鉱物
 無機鉱物を構成する単位は次のようなものである。
(1)元素鉱物
(2)硫化鉱物、炭化・窒化・珪(けい)化・燐(りん)化鉱物、酸化鉱物、ハロゲン化鉱物
(3)硝酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、硼(ほう)酸塩鉱物、亜硫酸塩鉱物、亜セレン酸塩鉱物、亜テルル酸塩鉱物、亜ヒ酸塩鉱物、ヨウ素酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、クロム・モリブデン・タングステン酸塩鉱物、リン酸・ヒ酸・バナジン酸塩鉱物、珪酸塩鉱物
 これらのうち、硼酸塩鉱物と珪酸塩鉱物とは、原子配列に重点を置いた細分が可能である。炭化・窒化・珪化・燐化鉱物は元素鉱物に含められることもある。異なった元素をもつ塩類鉱物が一括されているのは、単一種で複数の塩を端成分とした固溶体が存在するためである。
 これらの類名となる酸基を特徴づける陽イオンは、すべて3個あるいは4個の酸素原子(一部のヒドロキシ基を含むフッ素原子の場合は6個まで)によって囲まれている。つまり対酸素配位数が3あるいは4ということである。したがって燐モリブデン酸塩鉱物のようなヘテロポリ酸塩鉱物の帰属は、現在知られているものではリン(P)の配位数は4、モリブデン(Mo)の配位数は6であるため、これはリン酸塩鉱物のなかに入れられている。化学的には酸基とされる多重バナジン酸塩の鉱物は、そのなかのバナジウム(V)の大部分の配位数が5あるいは6であるため、酸化物に含められる。化合物の名称としては、メタニオブ酸第一鉄塩である鉄コルンブ石の帰属が酸化物となっているのも、ニオブ(Nb)の配位数が4ではなくて6であることによる。
 鉱物の系統分類単位への帰属が問題となる場合が発生するのは酸素が含まれている場合であるが、その酸素は特定の陽イオンの周囲に多少とも規則性(対称要素の保有など)をもった原子団をつくる傾向が強いので、その原子団の中心となる陽イオンの種類で系統分類体系を構築すると、酸素を含む鉱物全体に共通して同じウェイトで作用する内容のものにすることができる。
 このような場合、原子団がつくられているかどうかの判定基準は、問題となる陽イオンの周りに何個の酸素イオンがあるか、その数字に求められ、4個であれば形態的に原子団の存在が認められる。しかし、6個になると原子団としての挙動、たとえば酸基として隠イオンをつくるようなことは、一部の例外を除いて存在しない。なお例外はTe6+(6価のテルルイオン)で、これは明らかに[TeO6]6-という原子団を構成する。Nb5+(5価のニオブイオン)やTa5+(5価のタンタルイオン)は酸化物中では6配位の形をとり、形態上は酸基を構成しないので酸化物として扱われる。
 5配位の原子団は正方錐(すい)の中心にV5+(5価のバナジウムイオン)が位置し、これが底面の一辺をなす稜(りょう)で2個結合した[V2O8]6-がほとんど唯一のものであり、この形をもった酸基の存在で特徴づけられる一群のバナジン酸塩があるので、かつてはバナジン酸塩に含められたが、シュツルンツ分類Strunz and Nickel classification(2001)では酸化物のなかにバナジン化合物という特殊枠が設けられ、このなかに入れられている。
〔2〕有機鉱物
 有機鉱物は数が少ないこともあって(約50種)、後述したような無機鉱物の大区分に相当する区分はない。
 有機鉱物には有機酸塩鉱物、炭化水素鉱物、炭水化物鉱物がある。[加藤 昭]

鉱物の名称

鉱物名は従来から存在するものと、新鉱物として発見されて命名されたものとがある。原記載者は論文発表に先だって、国際鉱物学連合International Mineralogical Association(IMA)の新鉱物・命名・分類委員会の承認を受ける必要がある。原則的には、産地名や人名あるいは化学記号の英語読みなどの単語のあとに接尾語-iteをつけて鉱物名とするが、もちろん同一名称は使用できないし、多少の制限がある。なお、類似の化学組成をもつ複数の鉱物が系列を構成している場合、とくに希土類元素を主成分とする種については、その英名はゼノタイムのxenotime-(Y)、xenotime-(Yb)のように、そのなかでもっとも多量に存在する元素の元素記号を括弧(かっこ)でくくった接尾語を使って区別するという規定となっている。なおこの規定はパンペリー石などについても用いられ、pumpellyite-(Al)のように表される。また、成分が複雑な場合は、ジャーンザイトjahnsite-(CaMnMg)のように複数の元素記号が列記される。一方これとは別に、多型polytype(層状の構造単位に分割される場合、その単位の積み重なり方が異なる相)を区別する必要が生じた場合は、石墨のgraphite-2H、graphite-3Rというような接尾語を用いることで処理してきた。最初の数字は単位格子が基本的な原子配列単位の何倍になっているかを示し、あとの文字は結晶系の略号で、それぞれ六方晶系、菱面体(りょうめんたい)晶系を示す。
 その後、結晶軸の各方向に倍数の格子をもつ相が数多くの種について発見され、これまでの表現方法では不十分になってきたので、ポリバス鉱polybasite-M2a2b2cというように拡張記号が使用されるようになった。これが適用される相では、これまで、繰り返される単位の構成内容が同一であったため問題は生じなかったが、2002年に発見されたferrohgbomite(Fe2+3ZnMgAlAl14Fe3+TiO30(OH)2)では、2種の異なった構造単位の集積からなることが明らかにされ、種の識別上それら構造単位の内容まで限定する必要が生じた。これに対応するため、-2N2Sという構造単位接尾語をつけたferrohgbomite-2N2Sという名称が正式名称として承認されている。なお、このなかの記号Nはノーラン鉱nolanite=(V, Fe, Ti)10O14(OH)2の原子配列を原型とする構造単位、Sはスピネルspinel=MgAl2O4のそれを原型とする構造単位である。[加藤 昭]

物理的性質

(1)色 鉱物の色は、光に対して透明な鉱物は透過光の吸収された余色、不透明なものは反射光の色である。すなわちその物質に当たった白色のなかで吸収されず、反射された種々の波長をもった光が混合したものである。無色透明なものでも、多結晶の集合体となれば、粒間の界面で反射がおこって白色を帯びた色になるため、鉱物自身の状態によって多少変化する。着色した陽イオンをつくる重金属を含む鉱物では、その色が鉱物自身の色に反映されることも多い。
(2)光沢 それぞれの外観の光沢によって、無光沢(土状光沢とほぼ対応する)、ガラス光沢、真珠光沢、絹糸光沢、樹脂光沢、脂肪光沢、亜金剛光沢、金剛光沢、亜金属光沢、金属光沢などの用語を用いて記載される。
(3)条痕(じょうこん) 条痕板と称する磁器製の白色の板の上にこすりつけた色を観察する。条痕板より硬度の高い鉱物については、別の方法で粉砕した粉末について観察する。ただし、このような硬度の高い鉱物の条痕は無色か白色である。なお、条痕streakは色があることによってその所在が確認できるため、色はその本質的な性質であり、「条痕色」という表現は適正でない。英語でもstreak colorとはいわない。鉱物の条痕は一般にはその色が淡くなったものであるが、たとえば鉄電気石は見かけは黒色、条痕は白色に近い。若林鉱は外観は黄色であるが、条痕は外観にまったく出てこない橙色(とうしょく)味を帯びる。
(4)硬度 鉱物の硬度の測定に関しては、指準鉱物を用いて鉱物相互間の相対的な擦過(さっか)硬度を決定するモース硬度Mohs hardnessと、重量をかけたダイヤモンド針(実際には正方錐(せいほうすい))を平らに磨いた鉱物の表面に押し込み、その跡の大きさを測定して得られる、嵌入(かんにゅう)硬度の一つであるビッカース硬度(ビッカース硬さ)Vickers hardnessの二つがよく用いられ、両者の間にはある関数関係がある。本事典の鉱石・鉱物のデータノートではモース硬度を採用している。
(5)劈開(へきかい) 結晶質物質の単結晶には、機械的な力が加わったとき、一つあるいはそれ以上の平らな面に沿って割れる性質がある。その面を劈開面という。その程度は、完全、明瞭(めいりょう)、良好、不完全、不明瞭の5段階に分けて記述され、その方向は結晶面と同様の方法で決定される。方位の記述はミラー指数と同じ方法を用いる。劈開はその鉱物の原子配列と密接な関係がある。同一種の鉱物では原則として同一方向の劈開が存在するが、その程度は固溶体の化学組成によってやや異なることがある。閃(せん)亜鉛鉱では、亜鉛を置換する鉄の量が多くなると、劈開の発達の程度は下がる傾向にある。
(6)裂開(れっかい) 劈開の発達しない鉱物、あるいは劈開のある鉱物でも、本来劈開の発達しない方向に、産地あるいは産状によって、一見劈開様の一方向に平行に発達する面がみられることがある。これを裂開といい、劈開と同様の方法で記載される。
(7)断口(だんこう) 劈開のない鉱物、あるいは劈開以外の方向にある、鉱物の割れ口を断口という。これを記載するには、平滑と不平滑に大別し、不平滑の場合を貝殻状、折鋼(せきこう)状、鋸歯(きょし)状などの用語で表現する。
(8)比重 通常の比重の概念と同様であるが、鉱物の場合、その個体が包有物を含んでいたり、空隙(くうげき)をもっていたりすることがあるので、見かけ比重と真比重を使い分ける必要が生じる場合がある。通常は鉱物の重量と、それと同体積で3.98℃の水の重量との比で示され、単位はつかない。密度も比重同様に用いられるが、これには単位をつける必要があり、多くはグラム/立方センチメートル(g/cm3)で与えられる。
(9)その他 ここまでに述べたものは、多くの鉱物の記載の際、その鉱物を特徴づける属性として、かならず観察の対象となるものであるが、これら以外にも、場合に応じて重要となるものがある。すなわち、熱的性質(生成熱・熱伝導度・熱膨張係数・比熱・溶解熱・加熱減量曲線・示差熱分析曲線など)、電気的性質(電気伝導度・熱電気・焦電気・圧電気など)、磁気的性質、粘靭(ねんじん)性(脆(ぜい)性、柔性、展性、延性、靭(じん)性、撓(とう)性など)である。またこれらに属さないもので、触感・臭気(打撃、加熱、あるいは息を吹きかけた際などによる)、味なども物理的性質に加えられることがある。[加藤 昭]

光学的性質

可視光線に対して鉱物が与える諸性質で、透明鉱物に対しては、屈折率、複屈折、光学的方位、光軸角、光軸分散、光学記号、多色性の有無、軸色など、不透明鉱物に対しては、反射色、反射能などがある。これらのなかで定量的に示されるものは、同定上重要である。[加藤 昭]

化学的性質

鉱物は化学物質であると同時に、その化学組成が定義に直接関与しているため、化学的性質のうち、実験式、理想化学組成式、化学成分などは記載上必須(ひっす)の性質である。また、簡単な化学反応は同定上重要なことがある。
(1)実験式 理想的には、完全化学分析によって鉱物の成分とそれらの含有量を求め、結晶化学的に一括できるものは一括し、各成分の比率を計算する。分析方法によっては、原子量の小さい元素である水素、リチウム、ベリリウムなどについては、定性・定量分析ができない場合、これらの存在を定性的に確認した後、含有量を推定して化学分析値に換えることもある。鉄のように単一の元素で異なった原子価をもつものの場合も原子価状態が決定できないことがあると、それらの比率を推定あるいは予想して算出する。原則的には、このような操作の結果で得られた類似性質の組成集団の間の整数比の成立をもって、実験式を作成することもある。厳密には、この部分は実験によって裏づけられていないわけであるが、記述としては実験式empirical formulaという表現が許されている。
(2)理想化学組成式 実験式中、少量成分を除外し、必須成分と判断されるもののみを用い、それらが理想的な量比を満足しているとした場合の化学式をいう。これが実際に通用するかどうかは、結晶構造の決定によらなければならないが、構造の記載前でも作業仮説的な利用価値を有する。ただし、ペントランド鉱(化学式(Fe,Ni)9S8)のように、ある幅をもった不定比のFe・Niがどちらも必須成分である場合、両者の比率を表示しないままのものに「理想」という形容詞は用いられないとして、この種の鉱物への適用は不適当とする意見もある。
(3)構造式 結晶構造の決定により、理想化学組成式あるいは実験式から導かれる式で、鉱物の結晶学的な分類の際の基礎的な参考情報となるものである。また、そのなかの原子の配位数などから、その生成条件の推定につながる場合もある。
(4)試薬に対する性質 試薬となるものは、塩酸・硫酸・硝酸などの酸、アルカリ、水などで、これらを用いて鉱物との反応をみる場合が多い。たとえば、炭酸塩の多くは酸で分解され、二酸化炭素を放出し、いくつかの硫化物は酸と反応して硫化水素の悪臭を発する。こうした結果は同定の際に役だつ。[加藤 昭]

結晶学的性質

結晶学と関係する鉱物の諸性質として、次のようなものがあげられる。
(1)形態 鉱物の外側は、結晶系に支配されたある法則によって与えられる平面に囲まれていることがある。この面を結晶面といい、その集まりを結晶形態あるいは結晶外形という。結晶面は、その内部の規則正しい原子配列の反映である。鉱物の形態は、原則的に結晶面の発達の仕方によって支配され、その記載には、毛状、針状、柱状、板状、錐(すい)状、葉片状、粒状などの用語が用いられ、必要に応じてこれに短あるいは長という表現を添える。また複数個の結晶が集合する場合は、規則性を示すもの(たとえば平行連晶・双晶など)と、放射状、球顆(きゅうか)状、房状、皮膜状、繊維状、樹枝状、集落状のような、規則性を示さない、やや不特定な用語と、葡萄(ぶどう)状、腎臓(じんぞう)状のように事物に例える用語とがある。
(2)原子配列 結晶質物質の原子配列は結晶構造とよばれ、鉱物の原子配列の多くはこれに相当する。配列の記述は、原子を単一原子として取り扱う場合と、一つの原子を中心とした原子団として取り扱う場合とがある。この原子団を一つの多面体あるいは多角形とみなすと、その形は対称の要素をもつことが多く、そのために中心原子は、対称の要素である対称心・対称面・対称軸などの上に乗ることが多い。
(3)結晶化学的性質 原子と原子の間の化学結合には、イオン結合、共有結合、金属結合、ファン・デル・ワールス結合の四つの型があり、原子を球とみなした場合、ある結合半径をもって隣の原子と接しているとして取り扱うことができる。結合半径が近似していて、原子価の差が少ないか同一であり、化学的性質が近似した原子は、鉱物全体の原子配列を保ったまま置換しあうことがあり、同形置換とよばれる。これは鉱物の化学組成の複雑化の一原因でもある。一方、構成する元素の種類や量比が同じでも、異なった原子配列をとる鉱物もあり、これは同質異像とよばれる。この関係にある複数鉱物種、たとえば石墨とダイヤモンドは、それぞれが異なった生成条件(この場合は物理的に異なった条件)を示すことが多い。[加藤 昭]

成因

鉱物には、海水を構成する水分や、隕石(いんせき)の成分鉱物、あるいは宇宙塵(じん)の構成物のように、成因不明のものもあるが、通常、鉱物の成因としては次の三つが考えられる。
(1)気体、液体、溶融体など流体から生成される場合
(2)既存の鉱物あるいは固体物質と(1)の流体との反応によって生成される場合
(3)既存の鉱物あるいは固体物質間の反応、転移、あるいは結晶化などによって生成される場合
 具体的には、火山ガスからの昇華、熱水溶液からの沈殿、溶岩の固化などが(1)の場合に属し、熱水変質作用やスカルンの生成、地表での鉱物風化、二次鉱物の生成などが(2)の例である。(3)の場合には変成作用による変成鉱物の生成などが含まれる。[加藤 昭]

産状

産状とは、産出状態の短縮語といわれるが、本当にその場所で生み出されたものでないものも含まれるため、かつてはこの用語は排斥され、「現出状態」という用語が正しいとされたこともあった。現在では「産状」のほうが用いられている。鉱物は地殻を構成する最小単位であり、つねに集合をなして産するので、その集合の仕方を記述したものが産状であるということができる。したがってその記述は、その鉱物自身の状態と、集合がつくっている状態の双方の説明が表現されていることが望ましいといえる。たとえば「一造岩鉱物としてこういう種類の岩石からなる岩体を構成する」というように、地質単位に重点を置く方法もあれば、それが初生鉱物か二次鉱物かというように、生成過程を配慮する方法などがあり、これらを組み合わせることでいっそう具体化できる。すなわち、造岩鉱物を、火成鉱物、堆積(たいせき)鉱物、変成鉱物、交代作用生成鉱物などというように細分すれば、地質現象の産物としての集合体の構成物という性格をより鮮明にすることができる。現在、鉱物の産状の記述に関しては、できるだけ自由に、問題とする鉱物の存在意義がもっとも強調される方向に行われるべきであると考えられている。[加藤 昭]

鉱物資源の利用

鉱物資源としては、われわれの日常生活に欠くことのできない有用金属元素の鉱物のほか、化学工業用、窯業原料用、エネルギー源用など、鉱物のもつ物理的・化学的特性を応用して利用されているものが数多く存在し、その範囲は多岐にわたっている。鉱物資源の利用については古代より研究・開発されてきたが、世界的な人口増加がみられる昨今では、それら資源の有効な利用が望まれることはもちろん、未利用の鉱物資源の開発や新しい利用方法の開拓も今後に残された重要な課題といえよう。[加藤 昭]

採集

鉱物の採集は、鉱物を対象とする活動のうち、もっとも基本的なもので、それに引き続く作業の土台ともなるものである。もちろん、一つの科学的な作業として行う場合と、趣味的な活動として行う場合とでは、その重点の置き方が違うので、当然準備の仕方も異なってくるが、ここでは主として後者の場合について述べる。
 まず目的地の選定であるが、とくに目的地を設定せず、文献や地質図などで見当をつけていく方法と、産地に関する情報によって目的地を絞る方法とがある。後者についてはとくに説明を要しないと思われるので、前者について説明する。この方法でも、最低限、地質の概略に関する知識は必要である。対象として考慮に値する地質単位ならびにその組合せとしては、花崗(かこう)岩ペグマタイト(ペグマタイト鉱物・造岩鉱物)、花崗岩接触帯とくに石灰岩、苦灰岩などとの接触部(接触変成鉱物・スカルン鉱物・金属鉱物)、超塩基性岩(蛇紋石鉱物・脈鉱物)、広域変成岩(変成鉱物・脈鉱物)、変成層状マンガン鉱物(初生マンガン鉱石鉱物・二次生成マンガン鉱石鉱物・変成鉱物)、火山岩あるいは火砕岩(沸石・空隙(くうげき)鉱物)などがある。
 次に採集用具である。まず採集のため直接必要なものは岩石ハンマーで、大小両方あれば便利であるが、最初は小さなもの(1.5ポンドか2ポンド)から慣れていくのがよい。ハンマーはもちろん打撃で岩石を壊す道具で、正方形の断面の上側の稜(りょう)で打ち、なるべく狭い面積が当たるように振る。振り方は、振り上げてから途中までは腕全体で、その先は手首を使い、当たる瞬間握りを緩める。次に必要なものはたがねで、丸たがねと平たがねとがある。前者は方向性の乏しい岩石に、後者は方向性のある、あまり堅くない岩石に対して有効である。採集したものをよりよく観察するには、ルーペ(虫めがね)が必要である。これは1枚レンズの天眼鏡式のものより、2枚のレンズが短い筒の両端についたもののほうが使いやすい。観察したものの記録には、筆記用具、野帳(やちょう)を用意する。写真機、ビデオ撮影機などが有効なこともある。この種の作業にあたって、産地の確実な位置の決定を可能にするため、地形図は必携であり、方向磁石や高度計、GPS機器があればさらによい。
 標本について、多数採集した際の識別のため、番号、記号を記入する。これにはフェルトペンを用いるが、火山岩、超塩基性岩、含有機物堆積岩など、のちにガス分析などに使用される可能性のある標本の場合には、フェルトペンや新聞紙を用いると汚染の原因となるので、ポリエチレンの袋に入れて密封し、その表面に番号を書く。普通の採集品の場合には、新聞紙、木綿袋、ポリエチレン袋などを用い、他の標本と接して破損のおそれのないものは、なるべくひとまとめにしておく。破損しやすいものは、ちり紙、脱脂綿などで包装し、最後にセロファンテープなどで固定し、これに番号を入れる。以上は普通の場合であるが、椀(わん)または盆のような容器を用いて流水中で川砂をより分け、比重の大きい鉱物を採取するパンニング(椀掛け)とよばれる作業で得たものについては、これを入れるポリエチレン袋、選別用マグネット、ピンセットなどが有効である。[加藤 昭]

標本の保存と整理

採集した標本は全部保存するより、十分観察し、必要なものを保存すべきであろう。選別の基準は、普通は粒度の大きいもの、新鮮なもの、外形のよく発達したものなど、目的とする鉱物自身に重点を置く場合と、産状のよくわかるもの、共存関係が明らかなもの、生成順がわかりやすいもの、それ以外の要素を考慮する場合などがあり、これ以外にも珍しい鉱物、未決定鉱物などを対象とする場合もある。いずれの場合も、保存する主旨ははっきりしていなければならない。
 標本の保存のためには、整理しやすい形、すなわち整形を施されて不必要な部分を落とした形とし、洗浄して汚れがないようにしたものを適当な小箱や容器に収納したうえで、整理たんすなどに保存する。
 標本は実物とラベルがそろって初めて成立する。ラベルには、鉱物名、産地など必要情報を記入する。また必要に応じて、標本とラベルに共通の番号をつけ、台帳をつくって整理することもある。
 整理方法として、産地別、分類別、成分別、産状別など多くの方法があり、それぞれ一長一短がある。いずれの方法をとるにしても、標本として利用する際もっとも使いやすい方法で統一するのがよい。また、まったく分類せず、カード、コンピュータなどを用いて分類する方法もある。[加藤 昭]

標本の観察

自分が実際に観察した現場での採集品をさらに詳しく観察する場合であれば、特別な場合(たとえば砂鉱中の鉱物など)を除き、問題とする鉱物を含む標本の地質学的な情報はある程度与えることができる。採集、標本化、観察は、問題とする鉱物自身の情報と、またそれを含む標本のよりよい地質学的な情報を得ようとする意図が実現されるための活動である。複数の鉱物が含まれている標本になれば、単一鉱物の標本では得られない前後関係や化学組成の違いといったものが情報として獲得できる。参考標本の有無、参考文献の有無も重要であるが、それとともに、分析判断する思考能力もまた標本の有効利用上留意しておく必要のある事項の一つであろう。[加藤 昭]
『加藤昭他著『鉱物採集の旅』全5巻(1972~1983・築地書館) ▽松井義人・坂野昇平編『岩石・鉱物の地球化学』(1992・岩波書店) ▽地学団体研究会編『新版地学教育講座3 鉱物の科学』(1995・東海大学出版会) ▽クリス・ペラント著、砂川一郎監修『岩石と鉱物の写真図鑑――オールカラー世界の岩石と鉱物500』(1997・日本ヴォーグ社) ▽日本鉱物倶楽部編著『地球の宝探し――全国鉱物採集ガイド』改訂版(1998・海越出版社) ▽飯山敏道著『地球鉱物資源入門』(1998・東京大学出版会) ▽堀秀道著『楽しい鉱物学――基礎知識から鑑定まで』新装版(1999・草思社) ▽松原聰監修『鉱物カラー図鑑』(1999・ナツメ社) ▽牧野和孝著『カラー版 鉱物資源百科辞典』(1999・日刊工業新聞社) ▽和田維四郎著『本邦鑛物標本』『日本鑛物誌』復刻版(2001・東京大学出版会) ▽磯部克著『人生を豊かにする鉱物の博物誌』(2002・文芸社) ▽木股三善・宮野敬編『原色新鉱物岩石検索図鑑』新版(2003・北隆館) ▽八川シズエ著『元素でわかる鉱物のすべて』(2011・中央アート出版社) ▽エリック・シャリーン著、上原ゆうこ訳『図説 世界史を変えた50の鉱物』(2013・原書房) ▽松原聰監修・野呂輝雄編著『鉱物結晶図鑑』(2013・東海大学出版部) ▽寺島靖夫著『探検!日本の鉱物』(2014・ポプラ社) ▽松原聰著『美しすぎる世界の鉱物――カラー図鑑』(2014・宝島社) ▽ジェフリー・E・ポスト監修、ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著、伊藤伸子訳『ネイチャーガイド・シリーズ 岩石と鉱物――手のひらに広がる岩石・鉱物の世界』(2014・化学同人) ▽松原聰監修『鉱物・宝石大図鑑』(2014・成美堂出版) ▽キンバリー・テイト著、松田和也訳『美しい鉱物と宝石の事典――ロイヤル・オンタリオ博物館名品コレクション』(2014・創元社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の鉱物の言及

【ミネラル】より

…無機質ともいう。食物中には少量しか含まれないが,動物にとって必要な無機成分のこと。体を構成する諸元素のうち,炭素,水素,酸素,窒素を除いた成分で,ヒトの場合は,カルシウム,リン,ナトリウム,カリウム,塩素,マグネシウムなどがこれにあたり,食物中の量として1日当り100mg以上摂取する必要がある。ミネラルの生理作用は,(1)タンパク質やその他の化合物と結合して,生体構成成分となる,(2)血液や体液の浸透圧やpHを正常に保つ,などがある。…

※「鉱物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

鉱物の関連キーワード無機質肥料自然界自然現象自然物自然力無機質無機肥料自然鉄無機質化《自然界における人間の位置》

今日のキーワード

大寒

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...

続きを読む

コトバンク for iPhone

鉱物の関連情報