日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオイトカケガイ」の意味・わかりやすい解説
オオイトカケガイ
おおいとかけがい / 大糸掛貝
precious wentletrap
[学] Epitonium scalare
軟体動物門腹足綱イトカケガイ科の巻き貝。房総半島以南の西太平洋に分布し、オーストラリアに及ぶ。水深50~100メートルの砂泥にすむ。殻高55ミリメートル、殻径35ミリメートルに達し、殻表は純白色、ときに淡い褐色を帯びる。螺層(らそう)には10本内外の強い縦肋(じゅうろく)があり、これが上下の螺層にわたってつながり、糸をかけたようにみえるのが名の由来である。殻口は卵円形で、蓋(ふた)は黒く革質。殻の形態が清楚(せいそ)で美しく、収集家に珍重され高価であったため、模造品までつくられたという話があるほどである。
[奥谷喬司]