1981年に登録、2007年に登録内容が変更された世界遺産(文化遺産)で、フランス南部プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方、アヴィニョンの北約20kmにある。オランジュには古代ローマの遺跡がほぼ完全な状態で残っており、世界遺産に登録されたのは、旧市街にあるローマ劇場と北に築かれた凱旋門。町を威圧するような長さ約100m、高さ約37mの壮大な壁は、ローマ劇場の装飾壁である。丘の斜面を利用し半円形で階段状の観客席は1万人を収容でき、赤い砂岩を積み上げた装飾壁の中央では高さ3.5mのアウグストゥス帝の大理石像が観客席を睨んでいる。現在は失われたが、かつては装飾性と音響効果をあげるために壁面は大理石のプレートで覆われていた。オランジュへの北の入り口に建つのが凱旋門で、高さ22m、幅21m、奥行き8m、ローマ軍のガリア征服の武勲を称える浮き彫りが施されるなど、ローマ時代の栄光を今に伝える壮大な建造物としてその文化的な価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はRoman Theatre and its Surroundings and the “Triumphal Arch” of Orange