斜面(読み)シャメン

デジタル大辞泉 「斜面」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐めん【斜面】

傾斜している面。「山の斜面
[類語]斜めはす斜交はすか斜掛はすか筋交すじか筋違いなぞえ袈裟けさ懸けしゃ筋向かい

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精選版 日本国語大辞典 「斜面」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐めん【斜面】

  1. 〘 名詞 〙 傾斜している面。水平面に対していう。
    1. [初出の実例]「上谷より七八度の斜面にて、〈略〉泥水を飛瀉せしめ」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「斜面」の意味・わかりやすい解説

斜面[物理]
しゃめん[ぶつり]
slope

平面に対し傾きをもった平面。傾斜角 θ のなめらかな斜面上に置いた重さ w物体を斜面に平行な力 F で支えるとき,物体には斜面から垂直抗力 N も働くから,これら三つの力の釣合いの条件から Fw sin θ ,Nw cos θ となる。したがって,ゆるい斜面 (傾斜角 θ が小なので sin θ も小) では,荷重 w大部分 (w cos θ) は斜面が支えるので,重い物体を小さい力 F で支持できる。加える力をこれより大きくすれば,斜面に沿って物体を上げることができる。この意味で,斜面は一種の単純機械とみなせ,くさび,ねじとして利用される。しかしこの場合,斜面に沿って s だけ上げても,鉛直には高さ hs sin θ だけ上がっただけであるから,Fswh となり,鉛直に上げた場合と仕事の量は変わらない (仕事の原理一例) 。次に,物体 (質量 m) がなめらかな斜面に沿って降下するときの加速度は (w sin θ)/mg sin θ であって,傾斜角 θ を小さくすれば,自由落下重力加速度 g に比べて非常に小さくできる。ガリレオ・ガリレイはこの事実を利用して,大きい加速度の自由落下の代わりに小さい加速度の斜面に沿った降下運動を観察して物体の落下運動を論じた。最後に,摩擦のある斜面 (静止摩擦係数 μ) で物体を支えるとき,傾斜がゆるくて tan θ<μ ならば物体は摩擦力だけで支えられる。物体が静止摩擦に勝って滑り始める極限平衡は,傾きが tan θ=μ のときで,この傾斜角は静止摩擦角に等しい。傾きが tan θ>μ となると物体は滑りおり,これを支えるには大きさが w (sin θ+μ cos θ)≧Fw (sin θ-μ cos θ) の力 F を斜面に沿って働かせなければならない。

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改訂新版 世界大百科事典 「斜面」の意味・わかりやすい解説

斜面 (しゃめん)

傾いた面。力学で斜面の重要性は非常に大きい。近代科学の祖ガリレイは,重力による落下の等加速度運動は速すぎて測定がむずかしいので,斜面を用いてゆっくりした等加速度運動になおして研究を行い,力学の基礎を築いた。水平とつくる角がθの斜面上に置かれた質量mの物体に働く重力mg(gは重力加速度)を,斜面に平行な成分mgsinθと垂直な成分mgcosθとに分けると,後者は斜面の抗力によって打ち消され,摩擦力がなければ,物体は前者によって加速度gsinθで斜面を滑り落ちる(図)。θを小さくすれば加速度も小さくなるから,時間と滑り落ちる距離などの測定もやりやすい。半径r慣性モーメント2の球(κ2=2r2/5)や円柱κ2r2/2)が斜面の最大傾斜線に沿ってころがり落ちる場合には,重心の加速度はgsinθ/(1+κ2/r2)となってさらに小さくなる。また,物体をもち上げるときに,斜面に沿って引っぱり上げれば,力は小さくてすむので,昔から重い物をもち上げるのに利用されている。ただし,こうしても仕事は斜面を利用しないときと同じである。
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