オランジュ(読み)おらんじゅ(英語表記)Orange

翻訳|Orange

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オランジュ」の意味・わかりやすい解説

オランジュ
Orange

フランス南東部,ボークリューズ県,ローヌ川左岸平野,アビニョンの北約 25kmにある町。南部のサントゥートロープ丘上にケルト人要塞が築かれたのが始まりで,ローマのアウグスツス帝の時代にその植民地となり,多くの記念建築が建てられた。カピトル神殿,劇場,凱旋門,3世紀の司教館の遺跡などは当時の繁栄を伝えていることで有名。特に保存のよさで知られる円形劇場 (1世紀) は正面が出土品の彫刻で飾られ,幅 102m,高さ 38m。 1981年凱旋門とともに世界遺産の文化遺産に登録された。夏季演劇祭も催される。民族大移動時代に異民族が侵入し,町を破壊してからしだいに衰微し,中世には古代建築の廃墟石材を用いて要塞が建設された。 11世紀以降オランジュ家 (→オランニェ=ナッサウ家 ) 領。オランジュ家はのちにイングランド王を出し (17世紀) ,現オランダ王家の祖先ともなった。 1660年ルイ 14世が町を占拠して要塞を破壊し,1713年ユトレヒト条約でフランスに帰属した。 18世紀にはオランジュ・タイルで有名になった。周辺の果物,促成農産物の集散地食品工業,靴製造も行なわれるが,観光産業が最も重要。人口2万 8136 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オランジュ」の意味・わかりやすい解説

オランジュ
おらんじゅ
Orange

フランス南東部、ボークリューズ県の都市。アビニョンの北25キロメートルにある。人口2万7989(1999)。野菜、果実などの農産物市場をはじめとして商業が発達する一方精糖、食料品加工、羊毛製糸、靴製造などの工業も行われる。また、この町はローマ時代の遺跡が残っていることで有名で、観光の中心でもある。120年ごろつくられた古代劇場、1世紀につくられた凱旋門(がいせんもん)などはとくに有名である。

[青木伸好]

世界遺産の登録

ローマ劇場と周辺の劇場地区、凱旋門が1981年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「オランジュのローマ劇場とその周辺および“凱旋門”」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部]


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