山川 世界史小辞典 改訂新版 「カシュミール紛争」の解説
カシュミール紛争(カシュミールふんそう)
Kashmir Problem
カシュミール地域はインドとパキスタンに挟まれ,中国とアフガニスタンにも接するムスリム多住地域。この地域をめぐるインドとパキスタンの紛争。1947年のインド・パキスタン分離独立に際してカシュミール藩王国が帰属の決定を遅らせたため,両国間で同地域をめぐる戦争が起こった。その後の2回にわたる戦争でも境界線は確定せず,現在インドが約3分の2を,パキスタンが3分の1を実効支配し,それぞれジャンムー・カシュミール州,アーザード・カシュミール政府を置いている。パキスタンは,国連決議に沿って住民投票にもとづき帰属を決めることを主張しつつ,インド側カシュミールの武力闘争を支援している。インドは,カシュミール支配を既成事実としてパキスタンの主張に応じず,逆にパキスタンの武力闘争支援をテロリズムとして激しく非難している。89年以降,分離運動,パキスタンの武力闘争支援による武力紛争が恒常化し,99年にはカールギルで両国間の大規模な武力衝突が起こった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報