藩王国(読み)ハンオウコク

デジタル大辞泉 「藩王国」の意味・読み・例文・類語

はんおう‐こく〔ハンワウ‐〕【藩王国】

インド帝国で、英国に従属しつつ一定の自治・主権を認められた土着の封建領国。18世紀、ムガル帝国衰退期に勃興した地方領主が起源で、大小565か国が存在した。1947年、インドパキスタンの分離独立の際に多くがいずれかに併合され、ミャンマーの藩王国も社会主義体制下で滅ぼされた。土侯国

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精選版 日本国語大辞典 「藩王国」の意味・読み・例文・類語

はんおう‐こくハンワウ‥【藩王国】

  1. 〘 名詞 〙どこうこく(土侯国)〔現代文化百科事典(1937)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「藩王国」の意味・わかりやすい解説

藩王国 (はんおうこく)

独立前の植民地インドでイギリスの宗主権下に存続を認められた半独立王侯領地統治機構上,イギリス議会が管轄する英領インドと区別された。総督ダルフージーDalhousieの時期(1848-56)には旧封建支配層の領土は英領に吸収する策をとるが,1857-59年のセポイ反乱インド大反乱)を機にインド内のイギリス統治の忠実な友としてその存続がはかられる。1927年のインド藩王国委員会報告ではその数562,面積は当時のインド全体の45%,人口で24%を占めた。各藩王国の面積,人口,税収額,全般的重要度はそれぞれ異なる。王はヒンドゥーならマハーラージャ,ムスリムならナワーブハイダラーバードではニザーム)と称された。全体として藩王国内の行政は封建的部分が多く,イギリスの指導下ではあるが,近代的統治形態の導入をはかったマイソールや開明君主とよばれる王を出したバローダなどは例外的である。藩王はイギリスとの個別条約により一定の権限を保証されたが,レジデントなど各級のイギリス人駐在官の監視下にあって,実際には限られた内政権のみが許された。27年に全インド藩王国人民会議が結成され,住民の政治的要求を打ち出す運動が展開された。47年のインド分離独立とともにほとんどの藩王国がインド(一部はパキスタン)に統合されたが,ハイダラーバード,ジュナーガド,カシミールは併合をめぐり紛糾し,結局は前2者はインドに吸収,カシミールはその後もインド・パキスタン両国間の紛争点となる。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「藩王国」の解説

藩王国(はんおうこく)
Indian (Princely, Native) States

植民地時代のインドで,イギリスが間接支配した地域。イギリスは征服した地域の事情によっては,旧来の支配者を残し,その支配者を通じて間接支配する政策をとった。その際条約を結び,軍事・外交の権限をイギリスに委ねさせ,内政を監視するための弁務官を置くことを認めさせた。シパーヒーの反乱まではイギリス領インドへ併合する政策を進めたが,反乱を契機に保護策に転じた。これ以後藩王国は植民地支配の藩屏となった。ハイダラーバードカシュミール,トランバンコールのように大規模なものから,数カ村程度にすぎないものまで含めて,総数は600前後に上り,そこにインドの人口の4分の1が住んでいた。1947年のインド・パキスタン分離独立時には,大藩王国の帰属が問題になり,ハイダラーバード,カシュミールのように紛争の種を残した例もある。

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百科事典マイペディア 「藩王国」の意味・わかりやすい解説

藩王国【はんおうこく】

英国統治下インドの半独立の王侯領。インド大反乱以後は,統治に協力したとして存続が認められた。国数は大小500〜600,面積は全体の3分の1を占めた。個別に英政府と条約を結び,限定された内政権のみ認められた。英政府は藩王国の封建的・反動的な性格を民族運動抑圧に利用した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「藩王国」の解説

藩王国
はんおうこく

イギリス統治下のインド帝国各地に散在した半独立の王侯領地。土侯国ともいう
1920年代で大小合わせて563あり,面積では全インドの45%,人口では24%を占めた。イギリスと個々に従属関係を結び,保護国として自治を認められた。1947年の独立後はインド連邦またはパキスタンに併合された。カシミールの藩王国統合は両国の紛争の原因となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藩王国」の意味・わかりやすい解説

藩王国
はんおうこく

インド藩王国

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藩王国」の意味・わかりやすい解説

藩王国
はんおうこく

「インド藩王国」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の藩王国の言及

【インド[国]】より

…独立とともにインドはただちに二つの重要な問題に直面した。ひとつは藩王国の処理であり,他は分割にともなう混乱の解決である。 藩王国とはインドの国内に存在していた約500の大小さまざまの君主国で,イギリスの一種の保護国であり,その内部では藩王による専制的な体制が維持されていた。…

※「藩王国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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