改訂新版 世界大百科事典 「カシューブ」の意味・わかりやすい解説
カシューブ
Kaszub
ポーランド北部,バルト海沿岸地方東部,ほぼグダンスク県にあたる地域。ポーランド語のカシューブ方言を話す古代のポモジェ人の子孫が居住する。ビスワ河口以西の地域で,モレーン丘陵や氷河性の湖沼が多く,地形は低い丘陵地と低地からなり,地味はおおむねやせている。中心都市としてカルトジ,コシチェジナがある。カシューブ地方は14世紀にドイツ騎士団の支配下に入ったが,1466年のトルン条約で再びポーランド領となった。その後,ポーランドの2度にわたる分割(1772,1793)でプロイセン領となったが,ベルサイユ条約(1919)でポーランドへの帰属がきまった。カシューブ人は長いゲルマン化政策の強制にもかかわらず,特色のある固有の文化と言語を維持し,民族性を失わなかったことで広く知られる。
執筆者:山本 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報