日本大百科全書(ニッポニカ) 「カスミザメ」の意味・わかりやすい解説
カスミザメ
かすみざめ / 霞鮫
軟骨魚綱ツノザメ目カラスザメ科の属の総称、またはその1種の名称。カスミザメ属Centroscylliumは2基の背びれに強い棘(とげ)があること、上下両顎(りょうがく)の歯がほぼ同形で、3~7個の小さい尖頭(せんとう)をもつことなどが特徴で、世界に7種が知られ、すべて深海に生息する。生殖方法は卵黄依存型の胎生である。日本近海にはカスミザメC. ritteri、ハダカカスミザメC. kamoharaiの2種が分布し、このうちハダカカスミザメは体に鱗(うろこ)がほとんどなく、体表が滑らかでサメ類のなかではきわめて特異である。
種としてのカスミザメ(英名whitefin dogfish)は通常の鱗をもち、北海道の太平洋から四国沖にかけて分布する。全長50センチメートルほどになる。トロール網などで漁獲されるが、まとまってとれることはまれである。肝油をとり、フィッシュミールの原料となる。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、低懸念(LC)とされている(2021年9月時点)。
[仲谷一宏 2021年10月20日]