肝油(読み)かんゆ

日本大百科全書(ニッポニカ)「肝油」の解説

肝油
かんゆ

マダラまたはスケトウダラの新鮮な肝臓および幽門垂から得た脂肪油で、1グラム中にビタミンAを2000~5000IU(国際単位)含み、その約10分の1のビタミンD3を含む。黄色ないし橙(だいだい)色の液で、わずかに臭を帯びた特異なにおいがある。かつてくる病などの予防、治療に用いられたのは、このビタミンによる効果であった。現在ではビタミンAとDの欠乏症に広く用いられるほか、ビタミンA欠乏または代謝障害が関与するとみられる角化性皮膚疾患の治療のため、創傷またはびらん面に外用される。内服には飲みやすい軟カプセルの油球がある。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア「肝油」の解説

肝油【かんゆ】

マダラ,スケトウダラなどタラ科の魚やマグロカジキサメなどの新鮮な肝臓から得た黄色の脂肪油。おもな有効成分はビタミンA,Dで,これらの欠乏症(夜盲症くる病)の治療,予防に用いる。発育期の小児,妊産婦,消耗性疾患,病後の滋養剤にも内服する。常用量1日5g。
→関連項目魚油動物油脂

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化学辞典 第2版「肝油」の解説

肝油
カンユ
liver oil

サメ,マグロ,クジラ,タラなどの肝臓を水とともに加圧加熱すると得られる脂肪油.主成分は脂肪酸のグリセリンエステル.これらの肝油にはビタミンADが含まれるが,なかでもビタミンAの含有量が多く,天然ビタミンAの資源として重要である.

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精選版 日本国語大辞典「肝油」の解説

かん‐ゆ【肝油】

〘名〙 動物、おもに(たら)などの肝臓から採取した脂肪油。黄色透明の液体で、強い臭気があるが、ビタミンA、Dを豊富に含み、滋養強壮剤や夜盲症、くる病などの薬用として用いる。また工業用にも用いる。〔七新薬(1862)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「肝油」の解説

肝油
かんゆ
liver oil

マダラやスケトウダラなどの肝臓から分離した油。ビタミンAおよび D3 を多量に含み,眼の異常乾燥や変性を防いだり,皮膚の機能維持や骨の成長を促す効果がある。外用のほか,軟カプセル状の内服用がある。

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世界大百科事典 第2版「肝油」の解説

かんゆ【肝油 liver oil】

マダラ,スケトウダラなどのタラ科の魚や,マグロ,カジキ,サメなどの肝臓から採取した脂肪油。一般に脂溶性ビタミンAおよびDを豊富に含むが,とくにビタミンAの含有量が多く,天然ビタミンAの供給源として重要であった。肝油は古来エスキモー人やグリーンランドノルウェーおよびスコットランドの住民が薬用としていたが,18世紀にイギリス人が初めて臨床に使用した。日本で初めて作られたのは1877年(明治10)のことである。

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