日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィッシュミール」の意味・わかりやすい解説
フィッシュミール
ふぃっしゅみーる
fish meal
魚体を蒸し煮、圧搾し、乾燥させて粉末としたもの。魚粉(ぎょふん)ともいう。フィッシュミールは、多獲性の小形魚類を肥料として利用するためにアメリカで始められた。1920年代の中ごろから急速に進歩し、肥料だけでなく飼料や食糧としても発展してきている。日本では、第二次世界大戦前はニシン、イワシ類が原料として使用されたが、戦後はイワシ類、サバ、サンマなどが主原料とされ、スケトウダラ、カレイ類なども使用されている。輸入フィッシュミールではアンチョビー、ニシン、ヨーロッパ産イワシ類のピルチャード、サバ、アジなどの多獲性赤身魚がおもな原料として使用されている。
マダラ、スケトウダラ、カレイ類などの白身の魚からつくられた魚粉をホワイトミールといい、イワシ類、サンマ、サバのような赤身の魚を原料として製造されたものをブラウンミールという。フィッシュミールは、大部分が家畜用の配合飼料の原料として消費されており、養鶏や養魚用としても重要な製品である。
食用魚粉としては、マダラ、スケトウダラ、タイ類などの白身の魚類の筋肉を煮熟し、繊維をほぐして乾燥させた「そぼろ」が古くからつくられ、煮熟イワシまたは焼乾イワシを粉末にしたものは調味料や「ふりかけ」の原料などに使われる。また、イワシ類、ニシンなどの魚肉を細断してアルコール混合液で処理し、水分、脂肪分などを除去した食用魚粉である魚肉タンパク質濃縮物(FPC:fish protein concentrate)もあり、これは白色で栄養価が高く、魚臭もないのが特徴といわれている。
[望月 篤]