日本大百科全書(ニッポニカ) 「カマキリバエ」の意味・わかりやすい解説
カマキリバエ
かまきりばえ / 蟷螂蠅
[学] Ochtera mantis
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群ミギワバエ科に属する昆虫。体長4.4ミリメートル、翅長3.8ミリメートルの小形で黒っぽいハエであるが、前脚の各節はよく発達し、カマキリに似た捕獲肢(し)となっている。頭部も正面からみると倒三角形で、カマキリに似ている。前額(ぜんがく)は幅が広くて光沢がある。触角は短小で、触角刺毛は背方にだけ3本の長い分枝がある。胸部背面には小楯板(しょうじゅんばん)も含めて細かい皺(しわ)状の構造があり、灰色粉からなる2対の縦条が走る。はねは透明で、臀脈(でんみゃく)は退化している。腹部背面は灰褐色粉を装い、各節の両端寄りには灰白色粉からなる円紋がある。成虫は水辺の植物上で発見される。北海道および本州に分布するほか、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカに広く産する。
[伊藤修四郎]