光沢(読み)コウタク(英語表記)gloss

翻訳|gloss

デジタル大辞泉 「光沢」の意味・読み・例文・類語

こう‐たく〔クワウ‐〕【光沢】

光の反射による、物の表面の輝き。つや。「磨いて光沢を出す」
仏語。仏の光明のめぐみ。
[類語]つや色つや黒光り底光り

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精選版 日本国語大辞典 「光沢」の意味・読み・例文・類語

こう‐たくクヮウ‥【光沢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物の表面が光を受けて輝くこと。物の表面のつや。ひかり。輝き。〔病論俗解集(1639)〕
    1. [初出の実例]「春風吹万物、光沢動園林」(出典:南郭先生文集‐三編(1745)一・人日登台)
    2. 「『アルミ』の光沢(クヮウタク)」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一〇)
  3. 仏語。仏の光明に照らされて智慧が現われてくること。
    1. [初出の実例]「光雲無碍如虚空 一切の有碍にさはりなし 光沢かふらぬものぞなき」(出典:三帖和讚(1248‐60頃)浄土)

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改訂新版 世界大百科事典 「光沢」の意味・わかりやすい解説

光沢 (こうたく)
gloss

つやのある物体を見るとき,その物体の形や色など物体そのものを見るほかに,その物体に他の物体がうつった像も見ている。はっきりと強い像がうつるものは〈つや〉の高い物体で,像のうつらないものはつやのない物体である。つやと同じような意味の言葉に,〈光沢〉という言葉がある。写真の印画紙などのぴかぴかした感じのつやのあるものを光沢面と呼んだり,反対につやのないものを無光沢と呼んだりする。つやまたは光沢は,物体からの反射光の性質を表すものでなく,光の反射に関係した物体表面の性質を表すものである。それでは,つやと光沢はどのように異なるのであろうか。まったく光沢のない白と黒の図形を視野で重ね合わせて見ると,頭の中で生理的,心理的に合成された図形が光沢感を与えることがある。したがって,つやまたは光沢の現象は,単なる物理現象として解釈すべきものでなく,多分に心理的,生理的な要素をもっている。そこで物理現象と心理的または生理的要因の関係を明らかにするため,つやと光沢を使いわけることが多い。すなわち,物体表面の光の反射の性質を表す物理的性質を光沢と呼び,光沢に対応する物体表面の心理的または生理的感覚の属性を光沢感またはつやと呼ぶ。

 光沢に関係する物体表面の反射の性質には,正反射(鏡面反射)の光量の大小および正反射像の鮮明さが含まれている。実際には,これらのものだけでなく,もっと多くのさまざまの物理量の組合せで決まる。すなわち,正反射光沢,シーン光沢,対比光沢,反射像の鮮明さ,ブルーム,表面の模様など物理量が複雑にからみ合っている。正反射光沢とは,物体の正反射方向の反射光強度,シーンとは反射面に対してぎりぎりに入射したときの正反射光の強度,対比光沢とは反射光と拡散光の強度比,反射像の鮮明さは照射光源のコントラストの高さ,ブルームとはつやの高い面のもやもやした感じ,表面の模様は目で認識できる程度の表面の凹凸の度合である。一般には反射光の強度が大きいほど光沢は高くなり,金属が高い光沢を示すのも,その表面の反射率が高く反射光の強度が大きいことに基づいている。金属の光沢を金属光沢というが,金属光沢のもう一つの特徴は,金や銅などの選択吸収をするものでは特有の色を与えることである。金属以外の物質の光沢についてはガラス光沢樹脂光沢真珠光沢など代表的なものの名で呼ばれているものが多い。

 光沢をなんらかの方法で計測して,量的に表示したものを光沢度と呼んでいる。光沢度には,主として正反射光の強度に関係したものと正反射光の鮮明度に関係したものがあり,前者には鏡面光沢度,対比光沢度後者には鮮明度光沢度がある。鏡面光沢度とは,正反射方向での反射強度で光沢を表す方法,対比光沢度は,拡散光強度に対する正反射光強度の比を用いる方法である。鮮明度光沢度は,表面に他の物体の像のうつる程度の面について,反射像をうつしてその鮮明度の良否判定する方法である。

 対象とする物体に応じて,光沢のもつ意味と重要性はいろいろと異なり,例えば金属の光沢は,表面の美観,表面の粗さなどの構造との関係,あるいは表面の処理工程の制御などの面から重要視され,また紙や織物でも光沢の有無が品質の判定に利用されることが多い。
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百科事典マイペディア 「光沢」の意味・わかりやすい解説

光沢【こうたく】

物体表面の物理的性質で,対応する心理的属性を〈つや〉とか光沢感と呼ぶ。主として光を正反射(反射)する程度で決まり,紙・塗料などではこれを測定して光沢の規格を定めるが,実際には,正反射光と散乱反射光の強さの比,正反射像の鮮明さ,表面のざらつき模様などが強く影響する。表面反射光が強い金属光沢と,透明物質に伴う光沢(紙,塗料などでは表面に透明物質の層がある)とに2大別される。鉱物の場合には不透明鉱物が多く金属光沢を示し,非金属光沢としては比重・屈折率の大きい透明鉱物の示す金剛光沢,ガラス(玻璃(はり))光沢,脂肪光沢,完全なへき開面の示す真珠光沢,その他がある。

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普及版 字通 「光沢」の読み・字形・画数・意味

【光沢】こうたく

つや。

字通「光」の項目を見る

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