日本大百科全書(ニッポニカ) 「かもじ屋」の意味・わかりやすい解説
かもじ屋
かもじや
かもじを製造・販売する店。「かもじ」(髢)や「かつら」(鬘)は16世紀の室町後期には、京都の郊外に「鬘捻(かずらひねり)」とか「おちやない」という女性の落ち毛を集めてかつらやかもじをつくる女性の職人がいた。17世紀の江戸初期には京都にかつら師・かつら屋という専門店ができた。18世紀の江戸中期にはかつら屋からかもじ屋が分化した。1779年(安永8)春に京都で『当世かもじ雛形(ひながた)』が出版されたが、かもじの需要が高まってきたからである。そのほかの都市にもかもじ屋ができてきた。材料の髪は落ち毛だけでなく、需要によって頭頂の髪の毛を切って売る女性もみられるようになった。女髪結いの梳子(すきこ)・梳手も髪の毛を集めておいた。近代では、洋髪が流行してくると、それにあうヘアピースが使われるようになり、和風のかもじは少なくなってきた。
[遠藤元男]