カラヌス(読み)からぬす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラヌス」の意味・わかりやすい解説

カラヌス
からぬす

節足動物門甲殻綱カラヌス目Calanoidaの水生動物の総称。一般に体長1~4ミリメートルのプランクトンであり、日本からは約400種が知られているが、大部分が海産で、淡水産の種はごく少ない。無色透明なものが多く、長楕円(ちょうだえん)形の前体部と細長い後体部からなる。前体部は頭部と5胸節からなるのが基本であるが、頭部と第1胸節、第4胸節と第5胸節がそれぞれ癒合していることがある。後体部は雌では4節、雄では5節である。カラヌス属Calanusを中心にして多くの属種に分化し、個体数も膨大であるため、魚類クジラ類の天然餌料(じりょう)としてとくに重要である。また、種ごとに冷水性、温水性が明瞭(めいりょう)であるため、海水指標ともなる。

[武田正倫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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