日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルキス」の意味・わかりやすい解説
カルキス
かるきす
Khalkís
ギリシア中部、エウボイア県の県都。人口5万3584(2001)。エウボイア島中西部に位置する同島の中心都市で、エブリポス海峡を挟んで本土と対面する。商業、工業が行われ、とくに醸造と機械器具製造が盛ん。近年、産業の中心地として発展しつつある。
[真下とも子]
歴史
古代ギリシア時代にはエウボイア島最大のイオニア人のポリス(都市国家)であった。紀元前8世紀に南イタリアとシチリア島に多数の植民市を建設し、シリア北部に貿易拠点ポセイデイオン(今日のアル・ミナ)を設け、前7世紀にはエーゲ海北部に植民活動を展開し、また前8~前7世紀にかけて肥沃(ひよく)なレラントス平野の所有をめぐってエレトリアと戦った。商業と金属細工などの手工業で繁栄したが、前506年アテネと戦って敗れ、前478/477年にデロス同盟に加盟し、前446年に同盟離脱のエウボイア島の反乱を指導して失敗した。
前378/377年に第二次アッティカ海上同盟に加わり、その後、マケドニア、ローマ、ベネチア、オスマン帝国の支配を経て、1832年よりギリシア領となった。
[清永昭次]