日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワヨウジ」の意味・わかりやすい解説
カワヨウジ
かわようじ / 河楊枝
banded freshwater pipefish
[学] Hippichthys spicifer
硬骨魚綱トゲウオ目ヨウジウオ科に属する汽水魚。千葉県~南西諸島、太平洋、インド洋に広く分布する。和名は河口の汽水域に生息することに由来する。躯幹(くかん)部の腹面に13本の白い横帯があるのが顕著な特徴。体がきわめて細長く、尾部が著しく長い。躯幹部の中央隆起線が後部で腹方へ曲がる。背びれは尾部の第2輪板の上またはそれより後ろから始まる。河川汽水域やマングローブの水路に多くみられる。小さい甲殻類を食べる。つがいでいることが多く、産卵は夏から秋に河川で行われる。全長17センチメートルほどになる。本種に似たアミメカワヨウジには躯幹部に白色横帯がなく、背びれは第1輪板上から始まる。これらの種以外にもテングヨウジ、ヒメテングヨウジ、イッセンヨウジ、ホシイッセンヨウジ、タニヨウジ、ガンテンイシヨウジ、ハクテンヨウジなどが日本の汽水域から淡水域にすむ。
[尼岡邦夫]