カンボジア文学(読み)カンボジアぶんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンボジア文学」の意味・わかりやすい解説

カンボジア文学
カンボジアぶんがく

カンボジアは,バラモン教,部派仏教 (南部) ,大乗仏教 (北部) が共存した国である。そのため,扶南王朝 (1~6世紀) から 20世紀にいたる長く複雑な歴史的経過を通じて,カンボジアには独自の文学は存在しなかった。古く伝わる『レアム・ケール』 Ream Kerという叙事詩も古代インドの『ラーマーヤナ』のカンボジア版である。多くの碑文が残っているが,これらも,ほとんどがサンスクリット,あるいは古代クメール語で書かれていて,上述の各宗教の影響を強く受けている。民間伝承文学も,一般的にみて,神話アニミズム,宗教的道徳,男女の愛情をうたった韻文詩,散文詩が多く,その大部分が古代クメール文化の影響を受けている。碑銘文学も民間伝承文学も,過去の栄光,特に各王朝の各王侯治績の賛美にあふれている。 20世紀になり,ヨーロッパ,特にフランスの影響を受けて,数多くの外国文学が翻訳されているが,カンボジアの庶民大衆への文化的影響はあまり強くない。

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