改訂新版 世界大百科事典 「キエフ神学校」の意味・わかりやすい解説
キエフ神学校 (キエフしんがっこう)
Kievskaya akademiya
ロシアの神学校。キエフ府主教モギラPyotr Simeonovich Mogila(1596-1647)が1631年にペチェルスカヤ大修道院(キエフ洞窟修道院)内に設けたもので,のち神学大学として1817年まで存続した。カトリック教会の反宗教改革の一環として教会合同工作などの攻勢にさらされたポーランド支配下のロシア正教会にあって,西方で教育を受けたモギラは,逆にラテン神学の方法をとりいれて正教会の立場の強化をはかった。そのために創設されたモギラの神学校では,ラテン語,ギリシア語のほかに近代科学も教授され,聖職者養成といった神学校本来の枠をはるかに超えていた。17,18世紀にはキエフ神学校がウクライナおよびロシアにおける最高の教育研究機関となり,ロシアのピョートル1世の近代化政策を支えた人材の多くもこの神学校から出た。
執筆者:森安 達也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報