日本大百科全書(ニッポニカ) 「キローガ」の意味・わかりやすい解説
キローガ
きろーが
Horacio Quiroga
(1878―1937)
ウルグアイの小説家。学生のころから文学活動に従事し、一時パリに渡る。帰国後、拳銃(けんじゅう)の暴発で誤って友人を殺したのち、ブエノス・アイレスに移る。詩人のレオポルド・ルゴーネスと親交を深め、彼の指揮するイエズス会旧伝道区(ミシオーネス)探検隊に加わるが、アルゼンチン北部のこの熱帯地方にひかれ、やがて病気を苦に自殺するまで、この地と首都を往復する生活を送った。短編作家として名高く、『愛と狂気と死の物語』(1917)、『ジャングル物語』(1918)、『追放者たち』(1926)、『彼方』(1935)などの短編集や中編『アナコンダ』(1921)があるが、ミシオーネスを舞台に、幻想的な雰囲気を漂わせる作品が多い。
[安藤哲行]
『徳永瑞夫訳『酒つくりの男たち』(『世界短編名作選 ラテンアメリカ編』所収・1978・新日本出版社)』▽『田尻陽一訳『彼方で』(『ラテンアメリカ怪談集』所収・河出文庫)』▽『安藤哲行訳『羽根枕』(『美しい水死人』所収・福武文庫)』