知恵蔵 「キン肉マン」の解説
キン肉マン
主人公のキン肉マンことキン肉スグルはキン肉星の王子。人間を超越した存在の超人で、仲間と共に、次々に立ちはだかる強敵とリング上で戦う物語。キン肉マンは地球を襲う怪獣にも軽くあしらわれるダメ超人だが、テリーマンやラーメンマンなどの超人たちとの戦いを経て成長していく。
作者のゆでたまごは、嶋田隆司(しまだ・たかし)と中井義則(なかい・よしのり)による共同ペンネーム。71年に嶋田が通う大阪市の小学校に中井が転校したことで出会う。クラスは違ったが同じ団地に住んでいたため、通学を通して仲良くなる。嶋田が5年生の時に描いていた「キン肉マン」を見た中井が衝撃を受けたことがゆでたまご結成のきっかけになる。アニメ、映画、グッズ、ゲームなど一連のキン肉マン関連商品のヒットにより、2人は25歳で長者番付マンガ部門の1位、2位になる。特に、キン肉マンに登場するキャラクターの形をした消しゴムは「キン消し」と呼ばれ、子どもたちたちの間で人気を集めた。主人公のキン肉マンを始めキン肉大王やミート、スカルボーズ、ロビンマスクなどキャラクターは400種類以上ある。
98年からはキン肉マンの息子、万太郎を主人公とした『キン肉マンII世』が集英社「週刊プレイボーイ」に連載され、後に単行本として全29巻が発行される。2002年には「キン肉マンII世 オール超人大進撃」が「月刊Vジャンプ」で連載開始。また、08年には「キン肉マン」が生誕29(ニク)年を迎えることを記念してアニメ「キン肉マン」のテレビシリーズ全184話と、劇場版全7作品を収録した35枚組みのDVD-BOX「キン肉マン コンプリートDVD-BOX」がリリース。なお、これに合わせ、毎年「29日が金曜日となる日」を、「キン肉マンの日」と制定。制定後初の「キン肉マンの日」となる08年2月29日(金)には、新宿バルト9にて、「キン肉マン映画祭」も開催されるなど、様々な関連企画が実施された。
11年11月28日からは24年ぶりに連載がスタートした。最終シリーズとなった「キン肉星王位争奪編」のラストシーンの続きからスタートする新作。ウェブは無料で公開され、12年以降は単行本化が予定されている。
(金廻寿美子 ライター / 2011年)
キン肉マン
「キン肉マン」の連載終了後、98年に主人公をキン肉万太郎に変えた続編「キン肉マンII世」が「週刊プレイボーイ」(集英社)で、2002年に「キン肉マンII世 オール超人大進撃」が「月刊Vジャンプ」で連載開始。「週刊プレイボーイ」での連載は09年現在も続いている。また、1982年から88年までラーメンマンを主人公にした「闘将!! 拉麺男」が「フレッシュジャンプ」(集英社)で連載。2008年には原作ゆでたまご、作画小川雅史による「キン肉マンレディー」が「ウルトラジャンプ」(集英社)のウェブ増刊「ウルトラジャンプエッグ」で公開開始した。「キン肉マンレディー」以外はアニメ化もしており、マンガ以外にも、映画、ゲームソフト化など幅広いメディア展開を見せている。
さまざまなブームも起こした。作中に出てくる「火事場のクソ力」「屁のツッパリはいらんですよ」といったセリフは、当時子どもたちの間で流行。1983年から87年まで、バンダイが制作したカプセル自販機向け商品(ガシャポン)の「キンケシ」は、200種類以上のキャラクターで1億8,000万個を売上げ、キン肉マンの好きな吉野家の牛丼なども売上を伸ばした。
2008年には29周年を迎え、キンケシの復活や記念イベントなどを実施。また、日本記念日協会により、29日の金曜日がキン肉マンの日に認定された。作品の受賞歴は78年第9回赤塚賞準入選、84年第30回小学館漫画賞など。
(富岡亜紀子 ライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報