ギリシャ総選挙―与党中道右派薄氷の勝利(読み)ぎりしゃそうせんきょよとうちゅうどううははくひょうのしょうり

知恵蔵 の解説

ギリシャ総選挙―与党中道右派薄氷の勝利

2007年9月16日に行われたギリシャの総選挙で与党中道右派の新民主主義党(ND)が辛勝した。NDは政権維持に必要な過半数をわずかに1議席上回った薄氷の勝利だった(定数300議席中152議席)。カラマンリス首相は経済成長の成功を訴えたが、投票直前の8月下旬に起こった65人の死者を出した歴史的な山火事への救助活動の遅れを強く批判されていた。加えてギリシャ政治の二大政党制に対する有権者の批判もその背景にあった。ギリシャでは1974年の軍政崩壊以後、NDと全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の2つの大政党が政権交代を続けてきた。しかし、PASOKは次第に中道化し、二大政党はいずれも欧州連合(EU)支持と穏健改革路線を主張して、その違いは明確ではなくなってきている。そうしたなかで二大政党に対する支持率は低下してきており、今回も共産党、左翼運動エコロジー連合がほぼ倍増右翼の国民正統派運動も10議席を得て初めて議会進出を果たした。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2008年)

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