化学辞典 第2版 「クバン」の解説
クバン
クバン
cubane
pentacyclo[4.2.0.02,5.03,4.04,7]octane.C8H8(104.15).キュバンともいう.炭素骨格が立方体(cube)状の炭化水素.無色の三方晶系結晶.融点130~131 ℃(封管中).1964年にアメリカのP.E. EatonとT.W. Coleによってはじめて合成された.化学的に安定であるが,200 ℃ に加熱すると分解する.1H NMR δ 4.04 ppm,13C NMR δ 47.3 ppm.結合距離はC-C155 pm(1.55 Å)と,飽和炭素原子間距離として標準的な値をとるが,C-C-C結合角は89.7°と,正四面体角109.5°から大きくずれている.このため,分子全体として大きなひずみエネルギーをもつ.計算によって見積もられているひずみエネルギーは約647 kJ mol-1 で,シクロブタンの約6倍である.[CAS 277-10-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報