日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロムアルミナピンク」の意味・わかりやすい解説
クロムアルミナピンク
くろむあるみなぴんく
spinel pink
セラミック顔料の一つ。スピネルピンクともいう。ZnO(1-x)Al2O3xCr2O3の組成のスピネル固溶体で、だいたいx=0.2付近で6配位Cr3+のピンクの発色が得られる。酸化亜鉛ZnO、水酸化アルミニウムAl(OH)3、酸化クロム(Ⅲ)Cr2O3を配合し1300℃に焼成して得られる。この顔料は、クロムスズピンクが石灰(せっかい)バリウム釉(ゆう)で安定な呈色をしたのに対し、石灰亜鉛釉で安定に使用できるが、その発色は釉の組成に敏感で、酸化亜鉛、アルミナAl2O3の多い釉が必要である。石灰亜鉛釉による色釉の分光反射率曲線を示す。この吸収、反射の位置は粉末試料と一致し、釉中でこのスピネルが存在していることがわかる。タイル用に多く使われる。ほかに酸化クロムアルミニウム(AlCr)2O3のコランダム型のピンクがある。石灰亜鉛釉でピンクの発色をするが、この色釉の分光反射率曲線は、スピネル型のものとまったく同じ形で、X線分析でもスピネルの存在が確認され、釉中にZnO-Al2O3-Cr2O3系スピネルが生成していることがうかがえる。
[大塚 淳]