スピネル(その他表記)spinel

翻訳|spinel

デジタル大辞泉 「スピネル」の意味・読み・例文・類語

スピネル(spinel)

マグネシウムアルミニウム酸化物からなる鉱物ガラス光沢があり、八面体結晶が多い。等軸晶系硬度8。無色、赤・青・黄・緑色などで、火成岩変成岩に広く分布。美しいものは宝石になる。尖晶石せんしょうせき

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精選版 日本国語大辞典 「スピネル」の意味・読み・例文・類語

スピネル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] spinel ) マグネシウムとアルミニウムの酸化鉱物化学組成式 MgAl2O4 立方晶系。火成岩、変成岩、ペグマタイト中に生じる。硬度七・五~八。透明または半透明で赤、青、黄、緑、褐色などがあり宝石として加工される。主要産地はミャンマースリランカ。尖晶(せんしょう)石。〔鉱物字彙(1890)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「スピネル」の意味・わかりやすい解説

スピネル
spinel

尖晶石ともいう。化学組成MgAl2O4の鉱物。立方晶系に属する。八面体結晶が最も一般的で,まれに六面体や十二面体結晶も存在する。赤,青,緑,茶色の透明結晶,また不透明結晶も産する。赤色の美麗なものはスピネルルビーという宝石になる。{111}を双晶面とするスピネル双晶をしばしば示す。へき開はないが裂開が見られる。モース硬度7.5~8,比重3.581。結晶質石灰岩,片麻岩,蛇紋岩,カンラン岩中に産出する。RM2X4スピネル型構造をもつ鉱物や化合物は図に示すように,単位胞中に32個の陰イオンがほぼ立方最密充てんをしている。その隙間に64個の四面体と32個の八面体が存在し,前者の1/8,後者の1/2に陽イオンが存在する。化合物としてR2⁺M23⁺X42⁻,R4⁺M22⁺X42⁻,R6⁺M21⁺X42⁻,R2⁺M21⁺X41⁻など多種の電荷をもつイオンが存在する。またR[M2]X4の正スピネル型,M[R,M]X4の逆スピネル型,その中間型など,陽イオンの分布により多種多様な化合物がある。陰イオンにより,酸化物以外に硫化物のチオスピネル,ハロゲンスピネル,カルコゲンスピネルが存在し,30種以上の鉱物が記載報告されている。また磁性体をはじめ,多くの工業材料となり,250種ほどの合成化合物が報告されている。
執筆者:

スピネルはミャンマー,スリランカなどの主要産地において,ルビーサファイアとともに産し,古い時代には区別することなく取り扱われていた。そのため,スピネルがルビー,サファイアの名で著名な古い財宝の中に入り込んでいる例は数多い。たとえば,イギリス王室の第1公式王冠の正面に世界第2位の大きさのダイヤモンド(カリナン第2石,317カラット)と肩を並べてセットされている歴史的に有名な〈黒太子のルビー〉や同王室所蔵の〈ティムール・ルビー〉は,実はレッド・スピネルである。スピネルの名の由来は棘(とげ)を意味するラテン語のspinaが起源であろうといわれる。またスパーク(閃光)の意味のギリシア語スピンタリスspintharisから由来したともいわれる。色は豊富で,赤,ピンク,赤紫,青,緑,紫,橙色,褐色,無色(微色を帯びる)などがあり,ときにスター効果を示すスター・スピネルの産出もある。合成スピネルは,ルビー,サファイアと同様,フランスのベルヌーイA.V.L.Verneuilによって発明された火炎溶融法によって製造されている。
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スピネル」の意味・わかりやすい解説

スピネル
すぴねる
spinel

尖晶石(せんしょうせき)という名称も同義語として用いられる。スピネル系鉱物の総称をさす場合と、その一員である狭義の単一鉱物種スピネルをさす場合とがある。混乱を防ぐ場合には、後者を苦土スピネルあるいは苦土尖晶石という。スピネルは、熱変成を受けた苦灰岩、ケイ酸分に乏しい粘土質の堆積(たいせき)岩、超塩基性岩、塩基性岩中などに産する。自形は正八面体を基本としたもので、これを基体とした反覆双晶(スピネル双晶)をつくることがある。日本の産地としては、岐阜県揖斐川(いびがわ)町春日(かすが)鉱山(閉山)、大分県宇目(うめ)町(現、佐伯(さいき)市宇目)木浦(きうら)鉱山(閉山)などが有名。透明なものは研磨して宝石として用いられることもある。とくに赤色のものはルビーの代用品として用いられる。語源は、ラテン語の「小さなとげ」を意味するスピネラに由来する。

[加藤 昭 2017年8月21日]



スピネル(データノート)
すぴねるでーたのーと

スピネル
 英名    spinel
 化学式   MgAl2O4
 少量成分  Fe2+,Mn,Zn,Fe3+,Ti,V3+,Cr
 結晶系   等軸
 硬度    7.5~8
 比重    3.58
 色     灰,淡紫,紅,緑,淡褐
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)

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化学辞典 第2版 「スピネル」の解説

スピネル
スピネル
spinel

尖晶石ともいう.狭義には,アルミン酸マグネシウムMgAl2O4をさす.鉱物として広く変成岩中に産出する.ラテン語のspina(イバラ)から命名されたという.立方晶系に属し,天然産で純粋に近いものは格子定数 a = 0.8080~0.8086 nm.密度約3.55 g cm-3.融点約2135 ℃.MgOとAl2O3の粉末を混合し,1500 ℃ 程度で加熱すれば容易に焼結体として合成される.広義には,Mg2+ あるいは Al3+ を種々の金属が置換した酸化物固溶体の一般名として用いられる.[別用語参照]スピネル型構造

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スピネル」の意味・わかりやすい解説

スピネル
spinel

スピネル族のスピネル系に属する鉱物のうち,MgAl2O4 の化学組成を有する相を狭義のスピネルという。尖晶石ともいう。等軸晶系。無色,赤,青,黄など種々の色を呈する。比重 3.6,硬度 7.5~8。スピネルは,泥質岩起源の高温広域変成岩中や,接触変成岩中,あるいは火成岩に取込まれた泥質捕獲岩中などにみられる。宝石として用いられるのは,主としてこの狭義のスピネルである。マントルの主要構成物である橄欖石は高温高圧下でスピネルと同じ結晶系に相転移する。この (Mg,Fe)2SiO4 の高圧相もスピネルということがよくある。

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百科事典マイペディア 「スピネル」の意味・わかりやすい解説

スピネル

尖晶石(せんしょうせき)

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