化学辞典 第2版 「クロロアザン」の解説
クロロアザン
クロロアザン
chloroazane
NH2Cl(51.48).アンモニア(アザン)の塩素置換誘導体の体系名.クロラミン,クロロアミンともいう.水溶液中で次亜塩素酸に pH 約8.5でアンモニアを作用させると生成する.
NH3 + ClO- → NH2Cl + OH-
ただし,pH 3~5ではおもにNHCl2が,pH < 3ではおもにNCl3を生じる.Raschigの方法によるアンモニアと次亜塩素酸からヒドラジンをつくる場合の中間体にあたる.NH2Clはアンモニア-塩素間の気相反応でも得られる.
Cl2 + 2NH3 = NH2Cl + NH4Cl
淡黄色の揮発性液体.融点-66 ℃.気体は比較的安定であるが,液体は爆発性がある.水に可溶であるが,水溶液中で徐々に分解する.
3NH2Cl = NH4Cl + 2HCl + N2
三方すい型構造,N-Cl1.748 Å.∠Cl-N-H104°.[CAS 10599-90-3]
(1)ジクロロアザン(dichloroazane):NHCl2はクロロアザンより不安定で,純粋なものを単離しにくい.三方すい型構造で,N-Cl1.76 Å.∠Cl-N-Cl106°,∠H-N-Cl102°.[CAS 3400-09-7]
(2)トリクロロアザン(三塩化窒素)(trichloroazane):NCl3.[別用語参照]塩化窒素
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報