クロラミン

デジタル大辞泉 「クロラミン」の意味・読み・例文・類語

クロラミン(chloramine)

アンモニア水素原子塩素原子で置換した化合物総称。アンモニアと塩素を水に溶かした場合に生じ、次亜塩素酸遊離して殺菌・漂白作用を示す。置換する原子の個数によって、モノクロラミン(NH2Cl)、ジクロラミン(NHCl2)、トリクロラミン(NCl3三塩化窒素)とよび、ふつうクロラミンはモノクロラミンをさす。クロロアミン

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化学辞典 第2版 「クロラミン」の解説

クロラミン
クロラミン
chloramine

次の場合に使用される慣用名・商品名.【N-クロロ-p-トルエンスルホンアミドナトリウム・三水和物Na[C7H8ClNO2S]・3H2O(クロラミンT)[CAS 127-65-1]のこと.さらに類似のN-クロロスルホンアミド類にも,たとえばクロラミンB(ベンゼンスルホンクロラミン[CAS 127-52-6],N-クロロベンゼンスルホンアミド),ジクロラミンT(N,N-ジクロロ-p-トルエンスルホンアミド)[CAS 6326-15-4]などと,クロラミンの名称が使用される.殺菌防腐剤,消毒剤.食品衛生法指定添加物からクロラミンB,Tともに削除された.【】アンモニアのHをClで置き換えた置換体.普通はクロロアザンNH2Cl[CAS 10599-90-3]をさすが,さらにジクロロアザンNHCl2[CAS 3400-09-7],塩化窒素NCl3[CAS 10025-85-1]を含める場合もある.塩素系消毒剤.【】有機アミンのN-クロロ置換体R1R2NCl.たとえば,N-クロロジメチルアミン(CH3)2NCl[CAS 1585-74-6]など.【スイスのSandoz Ltd.製の直接染料の商品登録名.たとえば,Chloramine Black BG,Chloramine Green 4B,Chloramine Orange Bなど.これらには,クロラミンの名は付いているが,塩素置換されたアミノ基はもたず,ほとんどのものには塩素すら含まれていない.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロラミン」の意味・わかりやすい解説

クロラミン
くろらみん
chloramine

アンモニアNH3のH(水素)をCl(塩素)で置換した一連の化合物をいう。上水道の消毒法の一つにアンモニア塩素法があり、アンモニアと塩素を1対3の割合で同時に水中へ注入すると、クロラミン(NH2Cl、NHCl2)を生じ、徐々に次亜塩素酸HClOを遊離して殺菌作用を現す。殺菌力は弱いが水中の残留効果が認められ、クロラミン法ともよばれる。コストが高くつくことから日本では行われていない。塩素による飲料水の消毒の場合も、生成したクロラミンによる結合型有効塩素が残留効果を示している。この場合、水素イオン濃度(pH)の値に左右される。

 医薬用のクロラミンはクロラミンT(トシルクロルアミドナトリウムCH3C6H4SO2NClNa・3H2O)のことで、トシルとはp(パラ)-トルエンスルホニル(C7H7SO2-)をいう。歯科領域では0.5~2%濃度液が根管清掃消毒剤として使われ、一般医薬面では傷口口腔(こうくう)粘膜のほか、器具や手指および飲料水の消毒に使われたが、現在ではほとんど使用されず、日本薬局方でも削除されている。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロラミン」の意味・わかりやすい解説

クロラミン
chloramine

(1) アンモニアまたはその誘導体の水素原子を塩素原子で置き換えた形の化合物の総称。クロロアミンともいう。 (2) クロラミンTのことを薬局方でクロラミンという。 p -トルエンスルホニルクロロアミドナトリウムのことである。白色粉末。殺菌消毒剤。染料の脱色,抜染剤に利用される。なおクロラミンBはベンゼンスルホクロラミドナトリウムで,保存殺菌剤への用途がある。

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