内科学 第10版 「グリコーゲン病III型」の解説
グリコーゲン病III型(脱分枝酵素欠損症、Forbes病)(グリコーゲン病(糖原病))
脱分枝酵素 (debranching enzyme)はアミロ-1,6-グルコシダーゼとオリゴ-1,4-1,4-グルカントランスフェラーゼの2つの作用をもっている.本酵素の欠損により分枝の多い異常構造のグリコーゲン(limit dextrin)が蓄積する.臨床症状は乳幼児期においては肝腫大,空腹時低血糖,発育障害を主徴とするが,成人では緩徐進行性の筋力低下を主徴とする.中年期以降に筋症状が出現する遅発型も存在する.筋力低下,筋萎縮は近位筋優位の症例と遠位筋優位の症例が存在する.
診断
血清CKが上昇するが,成人では低血糖や肝腫大を認めることは少ない.前腕阻血運動負荷試験で乳酸の上昇を認めずグルカゴン負荷試験で血糖値が上昇しない.筋病理ではグリコーゲン蓄積を伴う空胞変性像を呈する.蓄積するグリコーゲンの異常構造を証明すれば診断的価値は高い.
治療
頻繁に少量ずつ炭水化物を摂食することで低血糖と乳酸アシドーシスが予防できる.高蛋白食が筋症状に有効とする報告もある.[樋口逸郎]
■文献
Dimauro S, Hays AP, et al: Nonlysosomal glycogenoses. In: Myology, 3rd ed, pp1535-1558, McGraw-Hill, New York, 2004.糖原病Ⅱ型(ポンペ病)ガイドライン編集委員会(代表 衞藤義勝):糖原病Ⅱ型(ポンペ病)診断治療ガイドライン,イーエヌメディックス,東京,2007.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報