日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケオプスネズミノミ」の意味・わかりやすい解説
ケオプスネズミノミ
けおぷすねずみのみ
Indian rat flea
[学] Xenopsylla cheopis
昆虫綱ノミ目(隠翅(いんし)目)ヒトノミ科に属する昆虫。インドネズミノミともよばれ、全世界に広く分布する。日本では奄美(あまみ)大島以南の温暖な地方に多い。体長は雄2ミリメートル、雌3ミリメートルほどで、ヒトノミにきわめてよく似た形態をしている。クマネズミ、ドブネズミなどイエネズミ類に多く寄生し、ペスト菌伝播(でんぱ)の主要害虫として知られる。本属のノミは世界に約60種いて、ペスト菌の媒介に関与するものが多い。20世紀の初め日本でのペスト流行の際には、本州、四国、九州の諸都市のイエネズミ類で、本種の寄生率が高くなった。このように、ケオプスネズミノミなどのノミの平均寄生数(ノミ指数flea indexとよぶ)が大きな値を示すときには、ペストの流行に配慮が必要とされる。
[阪口浩平]