媒介(読み)ばいかい

精選版 日本国語大辞典 「媒介」の意味・読み・例文・類語

ばい‐かい【媒介】

〘名〙
双方の間に立ってとりもつこと。はし渡しをすること。とりもち。なかだち。なこうど。きもいり。
※本朝無題詩(1162‐64頃)六・夏日遊河陽別業〈藤原明衡〉「伴老友朋松偃蓋、忘憂媒介桂盈樽」
風俗画報‐一六八号(1898)言語門「凡そ言語は吾人の思想を交換する媒介(バイカイ)なり」 〔晉書芸術伝・索紞〕
② 論理学で、かけ離れた二つの名辞の間に、両者を関係づけるような中間項の名辞を与える働き、手続
③ 哲学で、かけ離れた二つの実在を関連づけるために、もう一つの実在を挿入すること。たとえば、デカルトで、精神と物質の間に神を入れる手続、キリスト教神学で、超越する神と不完全の人間の間に、なかだちとしてのキリストを設定することなど。
④ 特にヘーゲル哲学で、すべての事物は個々独立になりたっているのでなく、他との関係のなかにあること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「媒介」の意味・読み・例文・類語

ばい‐かい【媒介】

[名](スル)
両方の間に立って、なかだちをすること。とりもつこと。「虫が伝染病媒介する」
ヘーゲル哲学で、存在認識が他のものによって条件づけられて成り立っていること。
[類語]取り持つ橋渡し仲立ち仲介取り次ぐ介する取り持ち口利き口入れ口添え肝煎きもい斡旋あっせん周旋紹介仲裁調停架け橋渡りを付ける引き合わせる中に立つ間に立つ取り成す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「媒介」の読み・字形・画数・意味

【媒介】ばいかい

仲人。〔晋書、芸術、索伝〕孝策、に冰上に立ち、冰下の人と語る。曰く、冰上を陽と爲し、冰下を陰と爲す。~君、冰上に在りて、冰下の人と語る。陽の爲に陰に語るは、媒介の事なり。君當(まさ)に人の爲に媒を作(な)すべし。

字通「媒」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

不動産用語辞典 「媒介」の解説

媒介

宅建業者が宅地建物売買・交換、貸借を成立させるにあたって、契約当事者の両方を紹介すること。

出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の媒介の言及

【コミュニケーション】より

…熱の〈伝導〉も,コミュニケーションのモデルとされる。また人類学などから出た考え方として,〈婚姻〉も,ある親族集団から別の親族集団への,〈女性(または男性)を媒介とするコミュニケーション〉とみなされている。人間以外の生物が,色,におい,身ぶり,音声などで周囲に情報を発し,あるいは交換していることは周知のことであるが,最近では〈遺伝〉も生物の世代間コミュニケーションとしてとらえられるようになった。…

【仲立人】より

…他人間の商行為の媒介をなすことを業とする者(商法543条)。媒介ないし仲立ちとは,他人間に契約が成立するように,契約当事者,内容,条件や相場につき情報を提供して周旋活動をすることである。…

※「媒介」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android