ドブネズミ(読み)どぶねずみ(英語表記)brown rat

翻訳|brown rat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドブネズミ」の意味・わかりやすい解説

ドブネズミ
どぶねずみ / 溝鼠
brown rat
Norway rat
[学] Rattus norvegicus

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ科の動物。原産地は中国北部であるが、日本には600年以上前に渡来し、ヨーロッパには18世紀に侵入した。現在では世界中に分布する。水辺好み、用水路や水田の周辺、港湾の埋立地、ごみ捨て場の周辺、下水溝、家畜舎の周辺や家屋内などで人間と共生している。頭胴長21~27センチメートル、尾長17~23センチメートル、体重は160~450グラム。目や耳は小さく、尾は頭胴より短い。体色は、体上面は灰褐色から赤褐色まで変化に富むが、体下面と手足は灰白色。夜行性で、一般に夏は屋外、冬は屋内で生活する。雑食性で、植物の茎葉や種子、魚貝類、昆虫ミミズ、鳥卵などのほかに残飯、台所の生ごみ、家畜飼料、穀物なども食べる。性質は荒く、飼い鳥を襲ったり、乳飲み子や寝ている人をかじった例もある。妊娠期間は約21日で、1産6~14子を産む。生まれた直後の子は体重5~6グラム、赤裸で目は閉じている。生後2週間ほどで開眼し、餌(えさ)を食べ始める。4週齢で巣立ちし、3か月齢で親と同じ大きさになり、繁殖可能になる。寿命は2~3年。実験動物として医学生物学領域で広く使われているラットは、本種の畜用品種である。

[土屋公幸]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドブネズミ」の意味・わかりやすい解説

ドブネズミ
Rattus norvegicus; Norway rat

齧歯目ネズミ科。アジア中央部,シベリア南部が原産地と考えられているが,いまやクマネズミと並んで世界的に分布している。クマネズミが人家の天井裏などにすむのに対し,本種はその名のごとく下水,台所などを中心に生活している。耳が小さく,前に倒しても眼に届かないこと,尾が体長より短いことでクマネズミと区別される。体長 25cm,尾長 20cm内外,体重 200~500gと大型で,性質も荒く,次第に他のネズミを圧迫しているといわれる。雑食性で,ときに生きた小動物 (魚,昆虫類など) を捕食する。実験動物として用いられるダイコクネズミは本種が白化し家畜化されたもので,シロネズミあるいはラット (ラッテ) とも呼ばれている。

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