ケトール(読み)けとーる(その他表記)ketol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケトール」の意味・わかりやすい解説

ケトール
けとーる
ketol

同一分子中にアルコールのヒドロキシ基(水酸基)-OHとケトンのカルボニル基Oの両方をもつ化合物の総称。ヒドロキシケトン、オキシケトン、ケトアルコールともいう。一般的にはアルコールとケトンの両方の性質を示すが、ヒドロキシ基とカルボニル基の相互作用によりアルコール、ケトンのいずれにもみられない性質を示す場合がある。たとえば、カルボニル基の隣の炭素原子上にヒドロキシ基がついているα(アルファ)-ケトールは還元性をもっていてフェーリング液を還元し、また、カルボニル基から1個ないし2個の炭素を隔てた位置にヒドロキシ基をもつβ(ベータ)-ケトールやγ(ガンマ)-ケトールは環状の互変異性体との平衡混合物として存在する。

 アセトールCH3COCH2OH、ジアセトンアルコール(CH3)2C(OH)CH2COCH3、ベンゾインC6H5CH(OH)COC6H5などがケトールとしてよく知られている。

[廣田 穰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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