フェーリング液(読み)ふぇーりんぐえき(英語表記)Fehling's solution

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェーリング液」の意味・わかりやすい解説

フェーリング液
ふぇーりんぐえき
Fehling's solution

アルデヒド基-CHOが還元性をもつことを利用して、アルデヒド基を検出する試薬。1848年にドイツフェーリングが考案したのでこの名でよばれる。結晶硫酸銅(Ⅱ)35グラムを水500ミリリットルに溶かした溶液(第1液)と、酒石酸ナトリウムカリウム170グラムと水酸化ナトリウム50グラムを500ミリリットルの水に溶かした溶液(第2液)をつくり、別の瓶に保存し、使用するときに等容量をとり混合する。混合液は硫酸銅溶液より濃い青藍(せいらん)色であるが、アルデヒドを加えると、銅(Ⅱ)イオンは還元されて赤色で不溶性の酸化銅(Ⅰ)になる。したがって、液は無色になり赤色の沈殿を生ずることからアルデヒドが検出できる。この反応は、脂肪族アルデヒドや糖類では陽性であるが、芳香族アルデヒドでは陰性である。

[廣田 穰 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェーリング液」の意味・わかりやすい解説

フェーリング液
フェーリングえき
Fehling solution

ドイツの化学者 H.フェーリングによって考案された還元糖の検出・定量用試薬。A液 (硫酸銅結晶 69.3gを水に溶かし1lとしたもの) とB液 (ロシェル塩 346gとカセイソーダ 100gを水に溶かして1lとしたもの) の等量混合物で,還元糖溶液に加えて煮沸すると酸化銅 (I) の赤色沈殿を生じる。この沈殿を重量法,容量法,比色法などにより定量すれば,糖の量を求めることができる。ただし糖以外にもこの試薬を還元する有機化合物が種々あるので,糖に対する特異試薬ではない。

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