古代ギリシアの陶工区。アテナイのアゴラの玄関ディピュロン(二重門)の入口近くにあり,往時は陶工が軒を連ねていた地区。これと隣接してその外側に古代墓地がある。近代以降ヨーロッパでは陶芸・窯業を総称してセラミック(英語=ceramic,ドイツ語=Keramik)と呼んでいるが,その語源はこのケラメイコスもしくはケラミコスkeramikosに由来する。ケラメイコスの墓地は前12世紀のミュケナイ時代末期から古典時代のほぼ1000年にわたり,とくに前6世紀以降はアテナイの公共の墓地として使用された。1871年この墓地から前8世紀に比定される典型的な幾何学様式の陶器が多数発見され,以後の発掘を通じて,ミュケナイ時代末期の同心円や同心半円の原幾何学様式の陶器から古典期にかけてのアテナイの窯業の発展を後づける貴重な遺品多数が出土した。これらは墓地の南の丘に建つケラメイコス美術館に収蔵されている。
執筆者:前田 正明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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