コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

幾何学様式 きかがくようしきGeometric style

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幾何学様式
きかがくようしき
Geometric style

前900年頃から前800年頃にかけてギリシア本土に最初に現れた美術様式。本来は陶器の装飾文様から生まれた名称。円,半円,同心円,波状文などを主とする原幾何学様式(→原幾何学様式土器)と,直線文を主とする本来の幾何学様式とに区分される。装飾文様の代表的なものには,鉤形メアンダー文(雷文)がある。1871年,アテネアゴラの入口に近いディピュロンの墓地から,全面に高度に発達した幾何学装飾文を施した多数の巨大なアンフォラが発見された(→ディピュロン出土のアンフォラ)。これらを特にディピュロン様式と呼ぶ。しかし前8世紀後半より東方の影響を受け,装飾文にしだいに鳥,動物,人間の姿の連続文が用いられ,硬直さは和らぎ,幾何学様式は徐々に衰退した。(→ギリシア美術

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

百科事典マイペディアの解説

幾何学様式【きかがくようしき】

幾何学文を用いた原始美術をさすこともあるが,一般には,前9―前8世紀にギリシアで生み出された壺絵の様式をさす。ディピュロン式がその代表。器体の全面をひし形,ジグザグ,格子,メアンデル文(雷文)などの装飾帯でおおう。
→関連項目文様

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

きかがくようしき【幾何学様式 geometric style】

エーゲ文明衰退後の文化的暗黒時代のなかで,ギリシア人が最初に生み出した美術様式。時代的には前1000年ころから前700年ころまで。多数の陶器のほかテラコッタやブロンズの小型像などが残るが,モニュメンタルな彫刻や建築はまだ作られていない。〈幾何学様式〉の名称はこの時代の陶器が主として直線や円からなる幾何学風の抽象的文様によって飾られていることに由来する。この図形化・抽象化の傾向はすでにミュケナイ美術にも認められるが,幾何学様式はこのギリシア人のもつ知的・構成的な造形感覚がはじめて最も純粋な形であらわれたものといえよう。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

幾何学様式
きかがくようしき
geometric style

美術用語。装飾文様の一様式。一般には同心円、三角形、菱形(ひしがた)、ジグザグなどの連続文様によって構成された装飾様式をさすが、狭義には古代ギリシア美術史上最初に現れた様式をいう。すなわち、紀元前10世紀から前7世紀にかけてアッティカ地方を中心にボイオティア、ペロポネソス半島など各地に開花したもので、この時代の陶器の装飾様式からこのようによばれるようになった。歴史時代の始まりであるこの時代の装飾文様は、先史時代のクレタ・ミケーネ時代の渦巻文や曲線による装飾文様と異なり、新たなメアンデルmeander文を中心に、鋸歯(きょし)文、菱形文、ジグザグ文などによる硬直な直線の組合せによって構成されている。アテネのアゴラの入口に近いディピロンの墓地から出土し、前750年ごろのものとされる大アンフォーラ「ディピロンの壺(つぼ)」はその典型で、いずれも器全面を、大小さまざまな上記の各種装飾文が帯状に十数段にわたって覆っている。[前田正明]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の幾何学様式の言及

【ギリシア美術】より


【様式の展開】
 ギリシア美術はその様式発展のうえから一般に次のように時代区分される。
[幾何学様式時代(前1000‐前700)]
 幾何学様式とは,ミュケナイ美術が滅んだあとギリシア人が最初につくり出した美術様式で,この時代の陶器がおもに幾何学的・抽象的図形で飾られているところからこの名で呼ばれる。主要な装飾モティーフは,平行線,メアンデル,菱形,三角形,市松,同心円などで,ここにもギリシア人の美術に対する知的・合理的な態度がよくうかがわれる。…

【陶磁器】より

…彼らの陶器は初めクレタ陶器を模倣し,その後しだいに著しく図式化した自らの陶器を生んだが,陶芸は全般に低調であった。 これに対し,同じく南下してきたドリス人によって樹立されたギリシアの陶芸は,前1000年ころから雷文や菱形文,ジグザグ文の硬直な幾何学様式の彩文土器を発展させた。その典型は前8世紀のディピュロン様式の大アンフォラ(双耳壺)にみられる。…

※「幾何学様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

幾何学様式の関連キーワードアテネ(ポリス)アルカイック美術原コリント陶器アルカイク美術ジオメトリックボイオティアメアンダーケラミコス

今日のキーワード

処暑

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の7月中 (7月後半) のことで,太陽の黄経が 150°に達した日 (太陽暦の8月 23日か 24日) に始り,白露 (9月8日か9日) の前日までの約 15日間であ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

幾何学様式の関連情報