日本大百科全書(ニッポニカ) 「コメノクロムシ」の意味・わかりやすい解説
コメノクロムシ
こめのくろむし / 米黒虫
black rice worm
昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科のコメノシマメイガの幼虫名。体が黒褐色なのでコメノクロムシとよばれ、成虫をコメノクロムシガともいう。成虫は、はねの開張15~25ミリメートル。前翅は褐色または赤褐色、不規則な暗色斑(はん)がある。日本全土のほかアジアの各地に分布し、人為的に食料とともに運ばれるため、ヨーロッパでもしばしば発見される。幼虫は、貯蔵穀物や乾燥食品のほか動物の乾燥標本などを食べる大害虫で、穀粒や糞(ふん)を糸でつづって巣をつくり、その中にすんで食害する。成虫は初夏と夏の終わりから秋に羽化し、家屋内や倉庫の中を飛び回り、交尾、産卵する。普通、幼虫態で越冬する。灯火には誘引されない。
[井上 寛]