改訂新版 世界大百科事典 「サンダンカモドキ」の意味・わかりやすい解説
サンダンカモドキ
Acocanthera spectabilis Don
キョウチクトウ科の常緑低木。花輪の材料になり,果実や樹液は有毒で,毒矢に使われる。雪白色の5片の小花が集まって咲き,芳香があり,花の形がサンダンカ(サンタンカ)に似ているのでこの名がある。原産地は南アフリカ。葉は革質緑色で,楕円形または長楕円形で先はとがり,長さ10cm内外,対生してつく。葉柄は短い。萼は深裂し5枚,花は筒状漏斗形で,先は5片に分かれ星状をなし,花径1.7cmくらい。多数穂状につき,長さ5~7.5cmである。子房は2室に分かれ,果実の径は2cmくらいである。果実は熟すると紫色となり有毒である。Acokanthera属は熱帯アフリカに約3種あり,植物体の各部の抽出液を矢毒に使った。有毒成分は配糖体のアコカンチンacocanthinあるいはストロファンチンである。本種はカリッサ属Carissaに入れられる場合がある。ただしカリッサ属には果実が食用とされるものもある。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報