改訂新版 世界大百科事典 「ザワツキー」の意味・わかりやすい解説
ザワツキー
Yurii Aleksandrovich Zavadskii
生没年:1894-1977
ソ連邦の演出家,俳優。モスクワの貴族の家に生まれ,モスクワ大学に学ぶ。1915年ワフタンゴフ・スタジオに入り,はじめ美術を担当し,やがて俳優,演出家になる。24年から31年までモスクワ芸術座に所属してスタニスラフスキーに師事した。そのかたわら,24年から36年までモスクワのザワツキー・スタジオを主宰,新解釈による古典劇の上演を試みながら後進を育てた。36年から40年までロストフ市のゴーリキー劇場で演出し,40年からモスクワのモスソビエト劇場の主任演出家として活躍する。ワフタンゴフ演出,C.ゴッツィ作《トゥランドット姫》(1922上演。以下同じ)のカラフ役が代表的な持役で,アフィノゲーノフの《マーシェンカ》(1941),レールモントフの《仮面舞踏会》(1952),ドストエフスキーの《ペテルブルグの夢》(1969)などは名演出として知られ,シェークスピアの《じゃじゃ馬ならし》(1938),《オセロ》(1944),《ウィンザーの陽気な女房たち》(1957)やチェーホフの《かもめ》(1945),《森の精》(1960)などの作品の斬新な演出でも注目された。
執筆者:中本 信幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報